このページでは、PEA の鑑定が何を大切にしているか、結果をどう読めばよいか、何ができないのかを説明します。なお、解析の具体的な方法や組み合わせ方は、判定をすり抜ける偽造に悪用されるのを防ぐため、公開していません。

PEA が大切にしている5つの原則

  • 1つの数字で決めない。性質の違う解析の結果が、同じ結論を指すかで評価します。ひとつの解析が強く反応しても、それだけでは「AI」と判定しません。
  • 「記録が無い」ことで減点しない。LINE・SNS・編集ソフトの書き出しでは、撮影情報や電子署名が消えるのが普通だからです。
  • 画質の劣化と偽物を分ける。圧縮や縮小で画質が落ちていることは「判断できる範囲が狭まった」と扱い、それ自体を加工の証拠とはしません。
  • 「問題なし」を「本物の保証」と言わない。疑わしい点が見つからなかった場合も、本物だと保証するとは表示しません。
  • 偽装しやすい手がかりを決め手にしない。後から書き換えられる情報は、それだけで結論を出さず、ほかの解析と照らし合わせます。

3つの面から、8つの解析で確かめる

画像の真偽は、ひとつの見方だけでは判断を誤ります。PEA は次の3つの面から、あわせて8つの解析を行います。それぞれ得意なことと苦手なことが違うため、組み合わせて使います。

PEA が画像を確かめる3つの面
面解析何を確かめるか
記録を確かめる電子署名(来歴)、AI生成の記録撮影機器や編集ソフト、生成AIが画像に残した記録から、画像がどう作られたかを確かめます。国際標準(C2PA)の電子署名があれば、その署名を検証します。
痕跡を調べるAI生成の特徴、加工の痕跡、画像の細部、部分的な加工生成や加工によって画像データに残る、人の目では見えない手がかりを探します。
内容を確かめる光と影の整合、人物・文字の整合光と影の向き、反射、人物の手や文字など、写っているものが写真として筋が通っているかを確かめます。

有料の鑑定結果では、その画像について「確認できた事実」「気になる点」「どれだけ確かか」「解析できた範囲」を、根拠として具体的に示します。

10段階のグレードの読み方

10が最も本物としての評価が高く、1〜2は生成・改変の可能性が高い状態です。グレードは、解析の結果がどれだけ同じ向きにそろったかと、どれだけの範囲を解析できたかで決まります。

グレードの意味(10が最も本物寄り)
グレード名称状態
10来歴署名つき真正性確認撮影機器の電子署名によって、撮影したときから画像が変わっていないことを確認できた状態。
9本物側に強く収束性質の違う複数の解析が本物を示し、その確かさも高い状態。
8複数の根拠が本物側に収束性質の違う複数の解析が、そろって本物を示している状態。
7カメラ撮影と整合生成・改変の手がかりがなく、カメラで撮影した画像の特徴が見られる状態。
6改変の兆候なし(保証ではない)十分な範囲を解析して、生成・改変の手がかりが見つからなかった状態。本物の保証ではありません。
5判定不能(中立)スクリーンショットや強い圧縮などで、判断の材料が足りない状態。
4疑義あり・要確認弱い疑い、または解析の結果どうしに食い違いがある状態。
3強い疑いが1系統ひとつの解析だけに強い疑いが出ている状態。人による確認をおすすめします。
2生成・改変の可能性が高い性質の違う複数の解析が、そろって生成・改変を示している状態。
1AI生成が明示されているファイルの中に、AI で作ったという確かな記録(検証できる電子署名など)がある状態。

「判定不能」を設けている理由

PEA はグレード5を「判定不能(中立)」としています。スクリーンショットや強い圧縮を経た画像では、判断の材料そのものが失われていることがあります。そのとき、劣化した本物の写真と痕跡を消した AI 画像は、劣化した後には区別できません。

そこで、「見えなかった」(5)と「見たうえで問題がなかった」(6以上)をはっきり分けています。判定不能の結果が出た場合は、撮影したままの元のファイル(送信・保存を経ていないもの)で鑑定すると、判定できることがあります。

できないこと・限界

1枚の画像から、あらゆる AI 生成・加工を確実に見抜く技術は存在しません。PEA の結果は、証拠として採用されるかどうかを決めるものではありません。

  • 最新の生成AIは、痕跡をほとんど残さない場合があります。スクリーンショットや強い圧縮で、痕跡はさらに失われます。
  • AI の判定技術には、新しい生成AIを見逃す、本物を AI と判定するといった誤りが起こり得ることが、研究で示されています。
  • 美肌補正やゆがみ補正、レタッチは加工の候補として見つかることがありますが、自然な補正や低い解像度の画像と完全には区別できません。
  • C2PA の電子署名について、発行元が後から証明書を取り消していないか(失効)までは、現時点では確認していません。
  • 写っている人が誰か、撮影された出来事が本当か(演出ではないか)は判定できません。
  • 対応形式は JPEG・PNG・HEIC(25MB まで)です。動画・音声は未対応です。
  • 法的に重要な判断では、元のファイル、入手経路の記録、弁護士など専門家の確認をあわせてご利用ください。

鑑定書を第三者が確かめられる理由

有料の鑑定書は、発行したあとに内容が書き換えられていないことを、当社を介さずに第三者が確かめられるよう、次の3つで守っています。

  1. 電子署名:鑑定の内容と、画像ファイルの「指紋」にあたる値(ハッシュ値)をまとめて電子署名で封印します。1文字でも書き換えれば検知できます。
  2. 第三者のタイムスタンプ:外部の時刻認証局が、その封印が発行した時刻に存在したことを証明します。
  3. つながった台帳:発行の記録を前後の記録とつないで保存します。過去の1件を書き換えると、それ以降の記録がすべて合わなくなります。

受け取った相手は、鑑定書の照合ページで証明書番号を入力すると、台帳への登録と封印を確認できます。手元の画像ファイルが鑑定書の対象と同じかどうかも、ブラウザの中だけで確かめられます(ファイルは送信されません)。署名の方式や公開鍵など、専門家が独自に検証するための情報も照合ページに記載しています。

鑑定書が証明するのは「そのファイルがその時点で存在し、以後変わっていないこと」と鑑定の内容です。撮影した日時そのものを証明するものではありません。

画像の扱い

アップロードされた画像は鑑定のためだけに使い、第三者に販売・公開することはありません。解析の一部で外部の解析サービスに画像を送信します。鑑定書を発行しなかった無料の結果は7日で消え、画像もその翌日までに削除します。送信先と所在国はプライバシーポリシーに記載しています。

よくある質問

「AI 87%」のような数字だけで判断しないのはなぜですか?

AI の判定ツールひとつだけでは、学習していない新しい生成AIの画像を見逃したり、本物の写真を AI と判定したりすることがあるためです。PEA は性質の違う解析の結果が同じ向きにそろうかで評価し、ひとつの解析が強く反応しても、それだけで AI 生成とは判定しません。

撮影日時などの情報(メタデータ)が無いと、偽物と判定されますか?

いいえ。LINE や SNS に投稿した画像、編集ソフトで書き出した画像ではメタデータが消えるのが普通なので、無いことを減点しません。

「判定不能(グレード5)」になるのはどんなときですか?

スクリーンショットや強い圧縮・縮小で、判断の材料そのものが失われているときです。劣化した本物の写真と、痕跡を消した AI 画像は、劣化した後には区別できないため、無理に白黒をつけずに中立とします。撮影したままの元のファイルで鑑定すると、判定できる場合があります。

解析の方法を詳しく公開しないのはなぜですか?

判定をすり抜ける偽造に悪用されるのを防ぐためです。何を大切にして判定しているか、結果の読み方、できないことは、このページで公開しています。有料の鑑定結果では、その画像について何が見つかったのかを根拠として示します。

参考資料

AI 画像の判定技術の限界と、来歴の国際標準に関する公開資料です。