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この記事は、2026年10月時点の法令と、法務省・裁判所・こども家庭庁・法テラスの案内をもとにした一般的な情報で、法的な助言ではありません。個別の事情は、法テラスや弁護士、養育費・親子交流相談支援センターに相談してください。

2026年4月の改正で変わったこと

父母の離婚後の子の養育に関する民法などの改正(令和6年法律第33号)が、2026年4月1日に施行されました。養育費に関わる主な変更は次のとおりです。

養育費に関わる主な変更(2026年4月1日施行)
変更内容注意
取り決めの文書で差押えができる(先取特権)養育費の取り決めの際に父母の間で作った文書をもとに、公正証書や調停調書がなくても、差押えの手続を申し立てられる(法務省)。子1人あたり月8万円まで施行日以後の月の分が対象。裁判所が、相手が作った文書かを確かめる資料を求めることがある
法定養育費養育費を決めずに離婚した場合、子と暮らす親は、離婚の日から、子1人あたり月2万円を請求できる(民法第766条の3、法務省令)施行日以後に離婚した場合だけ。裁判所は、この額は養育費の基準ではないとしている
ワンストップの手続地方裁判所への1回の申立てで、財産開示、勤務先などの情報の提供命令、給与などの差押えを続けて申し立てられる施行日以後の申立てが対象

法定養育費は、父母が協議で定めた日、審判が確定した日、子が18歳になる日のうち、いちばん早い日まで続きます。相手が、支払う能力がないことや、支払うと生活が著しく苦しくなることを証明したときは、全部または一部を拒めます。裁判所は、法定養育費の額は養育費の額の基準や標準ではないとしているので、まだ取り決めていない場合は、協議や調停で決めておきましょう。

取り決めは書面に残す

こども家庭庁は、養育費の金額や、いつまで、どのように支払うかを決めて、書面に残すよう呼びかけています。法務省も、口約束ではなく書面に残すこと、振込先なども具体的に決めることを勧め、「共同養育計画書」のひな形を公開しています。

  • 書くこと:子の名前、子ごとの月額、支払期間、毎月の支払日、振込先。法テラスは、取り決めの書面は公文書でなくてもよいものの、これらが明確で、本物として作られたものであることが必要だとしています。
  • 署名と押印:法務省は、双方が署名・押印した文書で定めること、実印で押すなら印鑑登録証明書をもらっておくことも考えられるとしています。
  • 確実にするなら:強制執行を受け入れる旨の文言を入れた公正証書、家庭裁判所の調停調書・審判があれば、それをもとに強制執行を申し立てられます。

証拠になりうるもの

法務省の共同養育計画書の案内は、署名・押印のある文書のほか、手紙、メール、SNS のやり取りや、取り決めどおり支払いがあったことの記録(通帳)なども証拠になりうるとしています。

養育費で、示したいことと手がかりになるもの
示したいこと手がかりになりうるもの
何をいくら払う約束か署名・押印のある取り決めの文書、公正証書、調停調書・審判、約束の内容がわかるメール・SNS のやり取り
約束どおり払われていた(いる)こと通帳・振込の記録。手渡しのときは、日付と金額がわかる受け取りの記録
払われていないこと通帳の記録、支払いを求めたメッセージと相手の返事
子と暮らしていること(法定養育費)住民票。住民票でわからないときは、保育園・学校とのやり取りの資料や賃貸借契約書など(東京地方裁判所の案内)

LINE・メールのやり取りの残し方

  • 養育費についてのトークは消さずに残し、トーク履歴のバックアップもとっておきます。
  • スクリーンショットは、相手の名前(アカウント)と日時がわかるように、前後のやり取りも含めて画面全体を撮ります。
  • スクリーンショットは「作り物だ」と言われることがあります(LINEトークの偽造の見分け方)。撮った日のうちにファイルを第三者が確かめられる形にしておくと、反論の材料になります。
  • メッセージだけでは「本人が約束した」ことを示しきれない場合があります。大切な取り決めは、署名・押印のある文書にしておきましょう。

払われないときの手続

  1. 支払いを求める:まずは支払いを求め、そのやり取りを残します。書面で求めるなら、内容証明郵便も使えます。
  2. 取り決めの文書をもとに差押えを申し立てる(2026年4月以後の分):父母の間で作った取り決めの文書をもとに、子1人あたり月8万円までの分は、公正証書や調停調書がなくても差押えを申し立てられます。裁判所は、文書が相手の意思で作られたことを示す資料(相手が署名・押印した書面など)を求めることがあります。
  3. 公正証書・調停調書・審判による強制執行:強制執行を受け入れる旨の文言がある公正証書、調停調書、審判をもとに強制執行を申し立てられます。2026年4月からは、1回の申立てで、財産開示、勤務先などの情報の提供命令、給与などの差押えを続けて申し立てられるようになりました。給与は、手取りの2分の1まで差し押さえられます。
  4. 家庭裁判所の養育費請求調停:取り決めがないときや、取り決めを見直したいときは、相手の住所地(または合意した)家庭裁判所に調停を申し立てられます。費用は子1人につき収入印紙1,200円分と郵便切手です。未払いの法定養育費を含めて取り決めることもできます。

さかのぼって請求できる期間(時効)

  • 当事者の間で取り決めた養育費:法テラスは、支払いが滞ったときから5年としています(公正証書で取り決めた場合も5年)。
  • 調停・審判などで決めた養育費:法テラスは10年としています。ただし民法は、確定した時点でまだ支払日が来ていない分には、この10年の定めを当てはめないとしています(第169条第2項)。調停の成立や審判の確定の後に支払日が来る月の分は、5年と考えられるので、弁護士に確かめてください。

古い月の分から時効にかかっていくので、払われないまま時間がたつ前に相談しましょう。

相談先

主な相談先(2026年10月時点)
窓口連絡先・時間できること
養育費・親子交流相談支援センター(こども家庭庁の委託事業)0120-965-419(携帯電話などからは 03-3980-4108)。平日(水曜を除く)10:00〜20:00、水曜 12:00〜22:00、土・祝日 10:00〜18:00養育費や親子交流の相談(相談員は弁護士ではない)
法テラス・サポートダイヤル0570-078374(IP電話などからは 03-6745-5600)。平日 9:00〜21:00、土曜 9:00〜17:00相談できる窓口や制度の案内(個別の法律相談はしない)
家庭裁判所相手の住所地などの家庭裁判所養育費請求調停の申立て

PEA でできること・できないこと

PEA の鑑定でできること・できないこと
できることできないこと
取り決めや支払いのやり取りのスクリーンショットに、鑑定した時点で電子署名と外部の時刻認証局のタイムスタンプを付ける取り決めがあったことや、相手が約束したことの証明
鑑定書の証明書番号から、相手や弁護士が「鑑定した時点で存在し、以後変わっていないこと」を確かめられるスクリーンショットに写ったやり取りが実際にあったことの証明
AI による生成・加工の手がかりの有無を調べ、日時などの表示が写っているかを示す差押えや強制執行に使える書面の代わり

無料の鑑定は1日1件まで(登録なしで1回お試しできます)。撮った日に鑑定しておけば、鑑定書にするかは7日以内に決められます。鑑定書は1件¥1,000です。無料で鑑定する

モラハラや DV の記録の残し方はモラハラの証拠とDV の証拠もあわせてご覧ください。

よくある質問

LINE で決めた養育費の約束は、証拠になりますか?

法務省は、署名・押印のある文書のほか、手紙、メール、SNS のやり取りや、取り決めどおり支払いがあった記録(通帳)も証拠になりうるとしています。ただし、メッセージだけでは本人が約束したことを示しきれない場合もあります。大切な取り決めは、金額・期間・支払日・振込先を書き、双方が署名・押印した文書にしておきましょう。

養育費を決めずに離婚したら、もらえませんか?

2026年4月1日以後に離婚した場合は、子と暮らす親が、離婚の日から子1人あたり月2万円の法定養育費を請求できます(民法第766条の3、法務省令)。父母が協議で定めた日、審判が確定した日、子が18歳になる日のいちばん早い日まで続きます。裁判所は、この額は養育費の基準ではないとしているので、協議や家庭裁判所の調停で取り決めておきましょう。

養育費が払われないときは、どうすればいいですか?

2026年4月以後の分は、父母の間で作った取り決めの文書をもとに、子1人あたり月8万円までは公正証書や調停調書がなくても差押えを申し立てられます(裁判所が、相手が作った文書かを確かめる資料を求めることがあります)。公正証書・調停調書・審判があれば強制執行ができ、1回の申立てで財産開示から給与の差押えまで続けて申し立てられるようになりました。

払われなかった養育費は、何年前の分まで請求できますか?

法テラスは、当事者の間で取り決めた養育費は支払いが滞ったときから5年、調停・審判などで決めたものは10年としています。ただし民法は、調停の成立や審判の確定の時点でまだ支払日が来ていない分には10年の定めを当てはめないとしています(第169条第2項)。どの分が何年になるかは、弁護士に確かめてください。

養育費の相談はどこにできますか?

養育費・親子交流相談支援センター(0120-965-419、携帯電話などからは 03-3980-4108)で相談できます(こども家庭庁の委託事業。相談員は弁護士ではありません)。法テラス・サポートダイヤル(0570-078374)では、相談できる窓口や制度を案内しています。調停は家庭裁判所に申し立てます。

出典