写真を使ったなりすましは増えている

警察庁によると、2025年(令和7年)の SNS 型ロマンス詐欺は、認知件数が5,645件(前年比47.6%増)、被害額が約546.4億円(同36.3%増)でした。警察庁は、SNS 上に公開された写真や翻訳アプリ、AI などを使えば、誰でも簡単に他人になりすますことができ、本人の音声や動画まで作れてしまうと注意を呼びかけています。

相手のプロフィール写真を画像検索にかけるのは、よい確かめ方の一つです。ただし、結果を正しく読むには、「出てこない」ことが何を意味するのかを知っておく必要があります。

画像検索で出てこない4つの理由

画像検索で見つからない写真には、次の4つの可能性があります。本物の写真と偽の写真が、どちらも「出てこない」に含まれる点に注意してください。

画像検索で出てこない4つの理由
考えられる理由AI判定ツールの結果確かめる手がかり
本人が撮った写真で、ネットに出ていない本物寄りに出るやりとりの内容に一貫性があるか、会う約束やビデオ通話に応じるか
他人の写真の盗用(非公開のアカウントから取られた、反転・切り抜きされている)本物寄りに出る(写真そのものは本物のため)顔の部分だけ・左右反転で検索し直す。複数の写真で人物の特徴が一致するか
生成AIで作った、実在しない人物の写真AI寄りに出ることがある(出ないこともある)電子署名や透かし、見た目の破綻。写真どうしで顔の細部が食い違っていないか
実在する人の写真を AI で加工した写真(顔の差し替えなど)判定が分かれやすい元の写真が見つかれば並べて比べる。顔と首や髪の境目が不自然でないか

盗用された本物の写真は、AI の判定ツールでは「本物」と出ます。「AI で作られた写真かどうか」と「写っている人が、やりとりしている相手本人かどうか」は別の問題です。AI 判定で本物と出ても、相手が本人だとは限りません。

プロフィール写真の確かめ方

  1. 複数の検索サービスで調べる。Google レンズと TinEye では、見つかる画像が異なることがあります。
  2. 検索のしかたを変える。顔の部分だけを切り抜く、左右を反転させる、背景に写った看板や建物だけで検索する、などを試します。反転や切り抜きをした画像では、元の画像が見つかりにくいためです。
  3. 写真どうしを見比べる。複数の写真で、ほくろの位置、耳の形、歯並び、髪の生え際などが一致するか。季節・場所・持ち物に食い違いがないか。
  4. AI で作られた手がかりを探す。電子署名(C2PA)や電子透かし(SynthID)、指や文字、アクセサリーの破綻などを確かめます。方法はAI画像の見分け方で詳しく説明しています。
  5. 本人かどうかを、写真以外で確かめる。ビデオ通話や会う約束を提案し、断り続けたり、カメラが壊れているなどの理由で避けたりしないかを見ます。ただし、AI で顔や声を変える技術もあるため、ビデオ通話ができたことだけで安心しないでください。

写真より確かな「危険サイン」

写真は偽物でも本物に見えることがあり、本物の写真が盗まれて使われることもあります。警察庁が示している SNS 型ロマンス詐欺の典型的な流れのほうが、判断の手がかりとしては確かです。

  • SNS やマッチングアプリで知り合い、一度も会わないまま親しくなる。
  • 最初のサービスから、LINE など別のアプリでのやりとりに誘導される。
  • 恋愛感情や「2人の将来」を理由に、投資や副業を勧められる(警察庁によると、投資の勧誘などでだまし取る手口が約7割以上)。
  • 投資サイトで利益が出ているように見せられ、出金しようとすると手数料などの追加の送金を求められる。
  • お金を送ったあと、連絡が取れなくなる。

会ったことのない相手から、投資や結婚費用などの名目でお金を求められたら、詐欺を疑ってください。写真が本物に見えるかどうかは関係ありません。

お金を求められたら・送ってしまったら

  • 送る前に相談する:警察相談専用電話(#9110)、消費者ホットライン(188)。188 は、お住まいの地域の消費生活センターなどの相談窓口を案内する番号です。
  • 送ってしまったら:すぐに警察に相談し、送金に使った金融機関(暗号資産で送った場合は交換業者)にも連絡します。
  • 記録を消さない:やりとりの画面(相手の ID や日時がわかるように)、相手のプロフィールの URL、送金の記録、受け取った写真のファイルを保存しておきます。写真は、スクリーンショットではなく受け取ったファイルのまま残すと、後で調べるときの材料が多く残ります。保存のしかたは画像が加工されているか調べる方法の「争いになりそうなときの備え」で説明しています。

PEA でできること・できないこと

PEA でできること・できないこと
確かめたいことPEA でわかるか補足
写真が AI で作られたか手がかりを示せる8つの解析の結果を、根拠つきで示す。判断の材料が足りなければ「判定不能」と表示する
写真が AI などで加工されたか手がかりを示せる合成や描き換えの痕跡を調べる。SNS やスクリーンショットを経た画像では判定できないことが多い
写っている人が、相手本人かわからない盗用された本物の写真は、本物寄りのグレードになる
同じ写真がネット上にあるかわからない逆画像検索は PEA の鑑定に含まれない。Google レンズや TinEye を使う

PEA の結果は、写真についての手がかりの一つです。危険サインとあわせて判断し、お金の話が出たら、結果を待たずに相談してください。無料の鑑定は1日1件まで使えます。

よくある質問

画像検索で出てこなければ、本人の写真ですか?

いいえ。本人が撮ったばかりの写真だけでなく、非公開の場所から盗用された写真や、生成AIで作った写真も、画像検索には出てきません。検索で見つからないことは、本人の写真である証拠にも、AI で作られた証拠にもなりません。

AIで作った顔写真は、画像検索で見つかりますか?

ふつうは見つかりません。生成AIはそのつど新しい画像を作るため、元になった同じ画像がネット上にないからです。ただし、同じ AI 画像がほかの場所でも使い回されていれば、見つかることがあります。

ビデオ通話ができれば、相手は本物だと安心してよいですか?

安心材料の一つですが、それだけで判断しないでください。警察庁は、SNS 上の写真や AI を使えば本人の音声や動画を作れてしまうと注意しています。会ったことのない相手からお金や投資の話が出たら、送る前に相談してください。

相手の写真を PEA で調べれば、詐欺かどうかわかりますか?

いいえ。PEA は、写真が AI で作られたり加工されたりした手がかりを調べるものです。写っている人がやりとりしている相手本人かどうかや、詐欺かどうかは判定できません。盗用された本物の写真は、本物寄りのグレードになります。

お金を送ってしまったら、どうすればよいですか?

すぐに警察に相談し(警察相談専用電話 #9110 または最寄りの警察署)、送金に使った金融機関(暗号資産で送った場合は交換業者)にも連絡してください。やりとりの画面、相手のアカウント、送金の記録は消さずに保存しておきます。

出典