まず身の安全を(危ないときは110番)
- 今まさに危ない、相手が近くにいる、家に押しかけてきたときは、110番に通報してください。
- 緊急ではないけれど不安なときは、最寄りの警察署に相談できます。政府広報オンラインは、警察署はストーカーに関する相談に24時間対応すると案内しています。どこに相談すればよいかわからないときは、警察相談専用電話「#9110」(受付は平日8時30分〜17時15分が基本で、都道府県によって異なります)。
- 女性の様々な相談に応じる女性相談支援センターには、全国共通の短縮ダイヤル「#8778」でつながります(受付時間は都道府県によって異なります)。
- 相手と一人で会ったり、話をつけに行ったりしないでください。
- 証拠集めより、あなたと家族の安全が先です。撮影や録音のために相手に近づく必要はありません。
警察庁のリーフレットは、ストーカー事案は相手の行動が急にエスカレートして重大な犯罪につながる危険性があるとし、「元交際相手だから」と考えず、できるだけ早く相談するよう呼びかけています。警察では、費用を公費で負担して一時的な避難場所を確保できる場合があるほか、110番緊急通報登録システムへの登録、パトロールの強化、緊急時の通報装置の貸出しなどを行っています。
この記事は、ストーカーや嫌がらせを受けている人が、記録をどう残すかを考えるための一般的な情報で、法的な助言ではありません。どの法律にあたるか、どの手続を選ぶかは、事案ごとに異なります。個別の事情は、警察や弁護士に相談してください。
ストーカー規制法で規制される行為
ストーカー規制法が対象にするのは、特定の人への恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことへの恨み(怨恨)の感情を満たす目的で行われる行為です。本人だけでなく、その配偶者や親族、友人・同僚など社会生活で密接な関係がある人に対する行為も含まれます(第2条)。
規制される10の行為
政府広報オンラインと警察庁は、規制される行為を次の10類型に整理しています(例は一部です)。
| 類型 | 例 |
|---|---|
| ① つきまとい・待ち伏せ・立ちふさがり・見張り・押し掛け・うろつき | 尾行する、通勤経路で待ち伏せする、自宅や職場・学校に押し掛ける、その付近で見張る |
| ② 監視していると告げる | 帰宅した直後に「おかえりなさい」と電話する、行動や服装をメッセージで告げる |
| ③ 面会・交際などの要求 | 断っているのに面会や交際、復縁を求める、贈り物を受け取るよう求める |
| ④ 乱暴な言動 | 大声で怒鳴る、家の前で車のクラクションをうるさく鳴らす |
| ⑤ 無言電話、拒まれたのに連続する電話・手紙・メール・SNS のメッセージ | 無言電話をかける、断っているのに何度もメッセージを送る |
| ⑥ 汚物などの送付 | 汚物や動物の死体など、著しく不快な物を自宅や職場に送りつける |
| ⑦ 名誉を傷つける | 名誉を傷つける言葉を告げる、中傷するメッセージを送る |
| ⑧ 性的羞恥心の侵害 | わいせつな写真を送りつける、卑わいな言葉を告げる |
| ⑨ GPS機器・紛失防止タグを取り付ける | 車や自転車に GPS 機器を付ける、鞄に紛失防止タグを忍び込ませる |
| ⑩ GPS機器・紛失防止タグなどで位置情報を取得する | 無断で付けた機器から位置情報を得る、無断で入れた位置情報共有アプリから位置情報を得る |
①〜⑧を「つきまとい等」、⑨⑩を「位置情報無承諾取得等」といい、同じ人に対してこれらを繰り返すことが「ストーカー行為」です(第2条第4項。①〜④と⑤のメールなどは、不安を覚えさせるような方法で行われた場合に限られます)。記録の面で押さえておきたいのは、「繰り返し」と「拒んだのに」が問題になる類型があることです。何回・どのくらいの期間続いたかがわかる記録と、あなたが断った(「連絡しないでください」と伝えた)ことがわかる記録を残しておくと、後で説明しやすくなります。
GPS機器・紛失防止タグ(位置情報無承諾取得等)
GPS 機器を悪用した行為は以前から規制されていましたが、いわゆる紛失防止タグは対象外でした。改正法により、2025年12月30日から、相手に無断で紛失防止タグを取り付けたり、紛失防止タグで位置情報を取得したりする行為も規制の対象になりました。政府広報オンラインは、交際中にスマートフォンに入れた位置情報共有アプリから、別れた後、共有を拒んだのに無断で位置情報を取得することも例に挙げています。見つけたときの対応は、GPS機器や紛失防止タグを見つけたらをご覧ください。
警告・禁止命令と罰則
- 警告(第4条):警察本部長や警察署長が、相手に「繰り返してはならない」と警告します。以前は被害者の申出が必要でしたが、2025年12月30日からは、申出がなくても警察の職権で警告できるようになりました。警告をしたときは、その内容と日時が被害者に通知されます。申出をしたのに警告されなかったときは、その旨と理由が書面で通知されます。
- 禁止命令等(第5条):都道府県公安委員会が、相手に行為を繰り返さないことなどを命じます。被害者の申出によるほか、職権でもできます。原則として相手の言い分を聴く手続(聴聞)を経ますが、緊急の必要があるときは、聴聞をせずに命令できます。効力は1年で、必要があれば延長されます。
- 援助(第7条):被害者が申し出れば、警察は被害を防ぐための援助を行います。政府広報オンラインは、具体的な防犯対策を教える、話合いのために相手に連絡する、ストーカー行為をした人の氏名などを教える、といった例を挙げています。
罰則は、ストーカー行為をした者が1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第18条)、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者が2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金(第19条)、それ以外の禁止命令等の違反が6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(第20条)です。
補足:2025年6月の刑法改正で「懲役」は「拘禁刑」になりました。これより前に書かれた解説では「懲役」と書かれていることがあります。
恋愛感情が理由ではない嫌がらせは?
近所の人からの嫌がらせや、恋愛と関係のない恨み・ねたみからのつきまといは、ストーカー規制法の対象にならないことがあります。ただし、ほかの法律や条例にあたることはあります。
- 迷惑防止条例:東京都の迷惑防止条例(第5条の2)は、ねたみ、恨みその他の悪意の感情からのつきまとい、押し掛け、見張り、乱暴な言動、拒まれたのに続く電話やメッセージ、汚物の送付、GPS 機器での位置情報の取得などを禁じています。条例の内容は都道府県によって異なるため、お住まいの地域の警察に確認してください。
- 軽犯罪法(第1条):不安や迷惑を覚えさせるような仕方でのつきまとい、住居などのひそかなのぞき見、みだりにごみや汚物を捨てること、他人の家などへのはり紙、公務員の制止をきかずに異常に大きな音を出して近隣に迷惑をかけることなどが、拘留または科料の対象です。
- 刑法:住居侵入(第130条)、暴行(第208条)、脅迫(第222条)、名誉毀損(第230条)、侮辱(第231条)、器物損壊(第261条)など。警察庁のリーフレットも、これらにあたる場合は検挙の対象になるとしています。
- 民事:刑事事件にならなくても、嫌がらせが不法行為(民法第709条)にあたれば、損害賠償や、行為をやめるよう求める(差止め)ことができる場合があります(近所・隣人からの嫌がらせ)。
| 嫌がらせの例 | かかわりうる法律の例 |
|---|---|
| 後をつける、家の周りをうろつく、見張る | ストーカー規制法(恋愛感情などが動機のとき)、迷惑防止条例、軽犯罪法 |
| 「殺すぞ」「家に火をつける」などと言う・送る | 刑法(脅迫) |
| 車・自転車・植木・郵便受けなどを壊す、傷をつける | 刑法(器物損壊) |
| 敷地や家に勝手に入る | 刑法(住居侵入) |
| ごみや汚物を家の前に置く・投げ込む | 軽犯罪法、迷惑防止条例、ストーカー規制法(恋愛感情などが動機のとき) |
| 張り紙・落書きで中傷する | 軽犯罪法、刑法(名誉毀損・侮辱) |
| 断っているのに電話やメッセージが続く | ストーカー規制法、迷惑防止条例 |
実際にあたるかどうかは、行為の内容や事情によって異なります。判断は警察や弁護士に任せ、あなたは何があったかを正確に記録することに集中してください。相手が職場の人ならパワハラの証拠の集め方、ネットへの書き込みなら誹謗中傷の証拠の集め方、配偶者やパートナーならモラハラの証拠の集め方、子どものいじめならいじめの証拠の集め方もあわせてご覧ください。
残すもの・残し方・注意点(一覧)
政府広報オンラインは、警察に相談するときに備えて、被害があったら日時・場所・状況などをメモ帳などに記録する、手紙その他の送付物を残しておく、着信履歴や電子メール、留守番電話などの記録や内容を残しておく、SNS のメッセージはスクリーンショットをとる、電話の内容を録音する、つきまといなどの行為をカメラやスマートフォンで撮影する、といった記録の残し方を案内しています。警察庁のリーフレットも、証拠となるメールや写真などは消さずに保存し、USB メモリやパソコンなどにバックアップしておくよう勧めています。
| 残すもの | 残し方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 被害の記録(メモ・日記) | そのつど、日時・場所・相手・何があったか・見ていた人・警察などへの連絡を書く。その日のうちに | 後からまとめて書くと、あいまいになりやすい。日付をさかのぼって書かない |
| 手紙・贈り物・置かれた物 | 捨てずに、封筒や包装ごとそのまま保管する。届いた日と届き方をメモし、写真も撮る | 汚物や危険な物は触らず、写真を撮って警察に相談する |
| 着信履歴・留守番電話 | 着信履歴の画面を、日時と番号がわかるように撮る。留守番電話は消さずに保存する | 機種変更や自動削除で消えることがある。早めにバックアップ |
| 電話の録音 | 通話を録音し、日時をメモする。編集せずに元のファイルを残す | 録音のために相手に電話をかけ直さない |
| LINE・SNS・メール | 日時・送信者・ID が写った画面全体を、前後も含めて撮る。断ったときの自分のメッセージも残す | ブロックや退会、通報の前に保存する。相手が取り消すと消えることがある |
| 写真(壊された物・ごみ・張り紙・落書きなど) | 片付ける前に、全体と近くから撮る。撮ったままの元のファイルを残す | LINE などで送った画像は、撮影日時などの記録が消えたり圧縮されたりすることがある |
| スマートフォンの動画 | つきまといなどを、安全な場所から撮る。撮った日時と場所をメモする | 撮るために近づかない。危ないときは撮らずに110番 |
| 防犯カメラ・ドライブレコーダーの映像 | 問題の場面を早めに書き出して保存する。元のファイルとコピーを別々の場所に | 上書きや保存期間で消える。撮影範囲は自分の敷地に。隣の家の窓や室内を映さない |
| 録音(騒音・怒鳴り声) | 日時・時間帯・続いた時間をメモし、編集せずに保存する | 自治体が貸し出す簡易騒音計の値は参考値で、証明には使えないとする自治体もある |
| GPS機器・紛失防止タグ | 自宅などに持ち帰らず、すぐに交番や警察署に相談する | 自分で壊したり捨てたりする前に、警察に相談する |
| 見ていた人 | 名前・連絡先・何を見たかを控える | 無理に頼んだり、話す内容を指示したりしない |
| 警察・相談窓口に相談した記録 | 日時・相談先・担当者の名前と部署・伝えたこと・言われたことを書く。受け取った書面は保管する | 相談を重ねた経過そのものが、後で説明する材料になる |
| 診断書・通院の記録 | 眠れない、外出が怖いなどの不調があれば受診し、何があったかを医師に伝える | 損害賠償を求めるときの材料の一つになる |
この表は、警察庁・政府広報の資料と法律事務所の解説をもとにした一般的な整理です。何がどう評価されるかは、事案ごとに異なります。
被害の記録(メモ・日記)のつけ方
録音や写真がなくても、被害の記録は大切な材料になります。ストーカーや嫌がらせは、一つひとつは小さく見えても、繰り返されていること自体が問題になることが多く、それを示すのが日々の記録です。
書く項目
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 日付・時刻 | 2026年10月5日(月)21時10分ごろ〜21時30分ごろ |
| 場所 | 自宅マンションのエントランス、最寄り駅の改札前、職場の駐車場、など |
| 相手 | 名前(わかれば)。知らない人なら、服装・背格好・車の色や車種・ナンバーなど |
| 何があったか | 見たこと、されたことを具体的に。言われた言葉はできるだけそのまま |
| 自分の対応 | 何と言ったか(「やめてください」「連絡しないで」と伝えた、など)、どう逃げたか |
| 見ていた人 | 一緒にいた人、近所の人、店員など |
| 残した証拠 | 撮った写真・動画・録音・スクショのファイル名、届いた物 |
| 警察・相談先への連絡 | 110番した、警察署に相談した(日時・警察署・担当者の名前と部署・言われたこと) |
| 影響 | 眠れない、外出が怖い、通勤経路を変えた、仕事を休んだ、受診した、など |
- 出来事からできるだけ時間をおかずに、そのつど書く。毎日続けて書いた記録のほうが、後で説明しやすくなります。
- 事実と気持ちを分けて書く。「怖かった」は大切な情報ですが、何が起きたかとは別の行に書きます。
- わからないことは「わからない」と書く。推測で埋めないほうが、記録全体が信用されやすくなります。
- 手書きなら、消せないペンで、書き間違えたら線を引いて直します。一覧にしておくと、警察に時系列で説明するときにそのまま使えます。
「その日までに書いていた」ことを残す
記録に対しては、「後からまとめて作ったのではないか」と言われることがあります。そのときに備えて、書いた時点で、自分だけでは書き換えられない記録を作っておく方法があります。
- その日のうちに、信頼できる人に送る。書いた内容をメールやメッセージで家族などに送っておくと、送った日時の記録が相手の側にも残ります。
- その日のうちに、ページの写真を撮って固定する。手書きの記録なら、書いたページを撮影し、その写真のファイルに第三者のタイムスタンプを付けておく方法があります。
- 公証役場で確定日付をもらう。対象になる文書の条件や手数料は、写真の日付を証明するにはと、公証役場で確認してください。
こうした方法が示すのは、「遅くともその時点で、その記録(または写真のファイル)が存在した」ことです。書かれた内容が本当であることや、出来事が起きた日時そのものを示すものではありません。それでも、出来事のあった日のうちに固定した記録が何日分も続いていれば、「後から都合よく作ったのでは」という疑いに答える材料になります。これまでのことも、覚えているうちに、今日の日付で「思い出して書いた」とわかる形で書き出してください。
写真・動画・防犯カメラで残す
写真(壊された物・置かれた物・張り紙など)
- 片付ける前に撮る。壊された物、置かれたごみ、張り紙や落書きは、片付けたり剥がしたりする前に、全体がわかる写真と、近くから細部がわかる写真を撮ります。どこで撮ったかがわかるよう、表札・部屋番号が入らない範囲で周りも写します。
- 撮ったままの元のファイルを残す。LINE などで送った画像は、撮影日時などの記録が消えたり、圧縮されたりすることがあります。撮影日時の記録が残っているかは、登録なしで使える確認ツールで確かめられます(画像はブラウザの中だけで読み取り、送信しません)。
- 日付を示す工夫。撮影日時の記録は端末の時計によるもので、後から変えることもできます。撮った写真をその日のうちに家族に送る、といった方法は、写真の日付を証明するにはで解説しています。
- 修理の見積書や領収書も残す。
スマートフォンの動画
- 安全な場所から撮る。家の中や車の中、人のいる場所から撮り、撮るために相手に近づいたり、追いかけたりしないでください。危ないと感じたら、撮るより先に110番です。
- 撮った直後に、日時と場所をメモする。
- 編集せず、元の動画を残す。見せるために切り出すときは、コピーに対して行います。
防犯カメラの映像と、付けるときの注意
映像を残すときは、問題の場面を早めに書き出してください。録画機は古い映像から上書きされ、クラウドの録画も保存できる期間が決まっています。元のファイルとコピーを別々の場所に保存し、カメラの時計が合っているかも確かめておきます。映像を SNS などに公開しないでください。
カメラを付けるときは、撮影する範囲に注意が必要です。
- 撮影範囲は、自分の玄関・敷地・車など、守りたい場所に絞る。大阪市の防犯カメラのガイドラインは、撮影範囲を必要最小限にし、住宅内部などの私的空間が映らないようにするよう求めています。
- 隣の家の窓や玄関、室内を映さない。青森県のガイドラインは、ガイドラインの対象外のカメラでも、人を撮影する場合はプライバシーを侵害するおそれがあるとしています。
- 撤去や賠償を命じられた裁判例もあります。弁護士の解説では、区分所有建物の共用部分に設置された防犯カメラについて、撮影の範囲・目的・必要性などを総合して判断し、1台の撤去と慰謝料を認めた判決(東京地裁2015年11月5日)が紹介されています。
マンションの共用部分や店舗のカメラに映っているかもしれないときは、早めに管理会社や警察に相談してください。こうしたカメラの映像は、本人や捜査機関などの例外を除いて外に出さないのが一般的で、保存期間も短いことが多いためです。PEA では動画を鑑定できません。防犯カメラやスマートフォンの動画は、元のファイルのまま保存しておいてください。
電話・メッセージ・手紙・贈り物を残す
- 着信履歴:着信の一覧の画面を、日時と電話番号がわかるように撮ります。何十回も続いているなら、その件数がわかるように続けて撮ります。
- 留守番電話・電話の録音:留守番電話は消さずに保存します。録音したら日時をメモし、編集せずに元のファイルを残します。
- LINE・SNS・メール:日付の区切り、各メッセージの時刻、相手の表示名と ID が入るように、画面全体を、前後を重ねて続けて撮ります。手順はスクショは証拠になる?の「LINE のトークを残すには」にまとめています。
- 断ったことがわかる記録:「連絡しないでください」「会うつもりはありません」と伝えたメッセージも残してください。拒まれたのに連続して電話やメッセージを送ることは、ストーカー規制法の規制対象です。
- ブロックや退会、通報の前に保存する。相手が送信を取り消したり、アカウントを消したりすると、こちらの画面からも見られなくなることがあります。
- 手紙・贈り物・送付物:捨てずに、封筒や包装、伝票ごとそのまま保管します。いつ・どうやって届いたかもメモし、写真を撮っておきます。汚物や危険そうな物は触らず、写真を撮って警察に相談してください。
GPS機器や紛失防止タグを見つけたら
- 自宅などに持ち帰らず、すぐに最寄りの交番や警察署に相談する。政府広報オンラインが、紛失防止タグについてこのように案内しています。持ち帰ると、自宅の場所を知られるおそれがあります。
- 触る前に、見つけた場所と状態を写真に撮っておく。安全に撮れる範囲で構いません。
- 自分で壊したり、捨てたりする前に、警察に相談する。
あわせて、スマートフォンの不審なトラッカーの通知機能(機種によって機能の有無や設定方法が異なります)、見覚えのない位置情報共有アプリや共有の設定、SNS の投稿の位置情報も確認しておくと安心です。写真に位置情報(GPS)が記録されているかは、写真の撮影日時・位置情報の確認ツールで確かめられます。
近所・隣人からの嫌がらせ
わざと大きな音を立てる、壁や床を叩く、ごみを置く、車や植木を傷つける、張り紙や落書きをする、顔を合わせるたびに怒鳴る、家の中をのぞく、といった近所の嫌がらせは、毎日顔を合わせる相手だけに、証拠集めにも相談にも特有の難しさがあります。
騒音・ごみ・物を壊されたときの記録
- 騒音:スマートフォンで録音・録画し、日時、時間帯、続いた時間、音の種類を記録に書きます。一部の自治体は簡易騒音計を無料で貸し出していますが、たとえば京都市は、測定結果はあくまで参考値で、裁判などの証明には使えないとしています。PEA では音声を鑑定できません。録音は元のファイルのまま保存してください。
- ごみ・汚物・置かれた物:片付ける前に写真を撮り、いつ気づいたかを書きます。危険そうな物は触らずに警察へ。
- 壊された・傷つけられた物:写真に加えて、修理の見積書や領収書を残します。
- 張り紙・落書き:剥がす・消す前に写真を撮り、剥がした張り紙は保管します。
- 見ていた人:同じように困っている近所の人がいれば、その人の記録とあわせると、一方的な言い分ではないことを示しやすくなります。
話し合い・調停・損害賠償
- ふつうの生活音と、わざとの嫌がらせは分けて考える。自治体の案内では、一般家庭から出る生活騒音は法律や条例の規制の対象ではなく、原則として当事者の話し合いで解決に努めることになるとされています。一方、脅しや暴力がある、わざと繰り返している、という場合は、一人で相手と向き合わず、管理会社や警察に相談してください。
- 「受忍限度」を超えるか。弁護士の解説では、近隣トラブルでは、社会生活を営むうえで我慢すべき範囲(受忍限度)を超えた行為が不法行為になり、損害賠償や差止めを求められる場合があるとされ、そのためには被害を受けている側が証拠を集める必要があると説明されています。嫌がらせが続く場合には、裁判所に接近禁止などの仮処分を求める方法もあるとされています。
- 民事調停。裁判所は、民事調停を、手続が簡単、費用が安い、秘密が守られるなどのメリットがある、近隣トラブルの有効な解決手段だと紹介しています。
- 期限があります。損害賠償を求められる期間には限り(時効)があります。早めに弁護士や法テラスに相談してください。
警察に相談するときの準備と、警察ができること
政府広報オンラインは、警察では被害の内容をできるだけ正確に把握するため、被害にあった日時や場所、状況などを尋ねるとし、証拠となる物や記録したメモなどがあれば、廃棄(削除)せずに持参するよう案内しています。被害の記録(時系列の一覧)、写真・動画・録音・スクショ(元のデータが入ったスマートフォンも)、届いた物、相手についてわかること、これまでに相談した記録を持っていきます。
警察ができることには、暴行・傷害・脅迫・器物損壊・住居侵入・名誉毀損などにあたる場合の検挙、ストーカー規制法による警告・禁止命令等、防犯の指導などの援助、110番緊急通報登録システムへの登録やパトロールの強化などがあります。警察庁のリーフレットは、被害届の提出を勧められたときは、身の安全を第一に考えて判断するよう呼びかけています。
相談したら、記録に残す。相談した日時、警察署と担当者の名前・部署、伝えたこと、言われたこと、次にどうするかを、被害の記録に書いておきます。受け取った書面は保管してください。住民票の写しなどを加害者に取られないようにする支援措置は、お住まいの市区町村で手続します。
証拠がない・「証拠が不十分」と言われたとき
「証拠がないから相談しても無駄では」と思う必要はありません。政府広報オンラインは、不安を感じたら、何か起こる前に警察に相談してほしいと呼びかけています。
- 証拠がなくても、まず相談する。覚えていることを時系列で書き出して持っていくだけでも、説明しやすくなります。
- 今日から記録を始める。被害の記録のつけ方にそって、これから起きることをそのつど書きます。
- 残っている記録を探す。着信履歴、メッセージ、家族や友人に当時送った相談のメッセージ、通院の記録、防犯カメラやドライブレコーダーの映像など。建物や店のカメラは上書きされる前に、管理会社や警察に相談してください。
- 相談を重ねる。被害が続いていることを、相談の経過で示せることがあります。
- 警告や援助を申し出る。申出をしたのに警告されなかったときは、その旨と理由が書面で通知されます。2025年12月30日からは、申出がなくても警察が職権で警告できるようになりました。
- 弁護士に相談する。刑事事件にならない場合でも、内容証明郵便での警告、民事調停、損害賠償や接近禁止の仮処分など、民事の手続で対応できることがあります。
「証拠が不十分」と言われても、それで終わりではありません。何が足りないと言われたのかを聞いて記録に書き、足りない部分を補う記録を、安全な範囲で少しずつ足していってください。身の危険があるときは、証拠の有無にかかわらず110番です。
やってはいけないこと
- 一人で相手に会う、家に押しかけて抗議する。断る意思はメッセージなどで伝え、話し合いが必要なときは、警察や弁護士など第三者を通してください。
- 仕返しをする。同じように張り紙をする、ごみを置き返す、相手の物を壊す、といった行為は、あなた自身が軽犯罪法違反や器物損壊などに問われるおそれがあります。
- SNS に投稿する・相手をさらす。書いた内容が事実でも、名誉毀損にあたるおそれがあります。投稿から、あなたの居場所が知られる危険もあります。
- 隣の家の窓や玄関、室内を映すようにカメラを向ける。プライバシーの侵害として、撤去や賠償を求められるおそれがあります。
- 相手の家や敷地に入って証拠を探す。住居侵入にあたるおそれがあります。
- 相手のスマートフォンやアカウントに無断でログインする。他人の ID やパスワードを無断で使う不正アクセスは犯罪です。
- 相手を突き止めようと、尾行したり、見張ったり、GPS 機器を付けたりする。危険なうえ、あなたの行為が問題になるおそれがあります。
- 記録を書き換える、日付をさかのぼる、都合のよい部分だけ切り取る。見せるために切り取るときは、コピーに対して行い、元のファイルを残します。
- 証拠のために危険に近づく。証拠より、あなたの安全が先です。
PEA でできること・できないこと
PEA は、画像を性質の異なる8つの解析で調べ、AI による生成・加工の手がかりを1〜10のグレードで示す画像鑑定サービスです。ストーカーや嫌がらせがあったかどうかを判断するサービスではありません。まずは、被害の記録をつける、手紙や着信履歴を残す、写真を撮る、警察に相談する。これがいちばん先にやることです。PEA は、そのうえで使う追加の手段です。
- 無料の鑑定(1日1件)で、グレードと判定の要約がわかります。登録とメールアドレスの確認が必要です。
- LINE や SNS のスクショに、トークや投稿を特定する表示がそろっているかを示します。送信の日時、送信者のアカウント名や ID、画面全体を保存したか、前後のやりとりが写っているか、切り取りの形跡がないかを一覧で示します。
- 写真やスクショが AI で作られたものか、加工の手がかりがあるかを判定します。痕跡が見つからないスクショはグレード6(改変の兆候なし)までとし、根拠を示せない画像は「判定外(Grade -)」として有人鑑定をご案内します。
- 画像の状態を固定できます。鑑定書(1件¥1,000)にすると、鑑定した時点のファイルのハッシュ値を電子署名で封印し、第三者の時刻認証局によるタイムスタンプ(RFC 3161)を付けた鑑定書になります(タイムスタンプの時刻は、鑑定した時点です)。警察や弁護士などの第三者が照合のページで証明書番号を入力して確かめられます。料金は料金のページをご覧ください。
- 壊された物の写真や、記録のページの写真は、撮った日・書いた日のうちに鑑定してください。「遅くともその日に、この写真のファイルが存在し、以後変わっていない」ことを示す材料になります。無料の鑑定の結果は7日で消えるため、鑑定書にするのはその7日以内です。
- 鑑定できるのは画像のファイル(JPEG・PNG・HEIC、25MBまで)です。防犯カメラやスマートフォンの動画、騒音や電話の録音は鑑定できません。
- 画像は、ご本人だけが見られる設定で保存します。運営者は画像を見ません。担当者が画像を確認するのは、有人鑑定をご依頼いただき、開示に同意された場合だけです。鑑定の一部では、外部の解析サービスに画像を送信します(送信先はプライバシーポリシーに記載しています)。
- 鑑定書の照合ページには、ファイル名が表示されます。住所や名前がファイル名に入っていれば、鑑定に出す前に変えてください。家の外観や表札など、居場所がわかる情報が必要以上に写った画像は避けてください。
PEA は、誰がやったか、出来事がいつ起きたか、写っている被害が本当にあったか、記録に書かれた内容が本当か、それがストーカーや嫌がらせにあたるかは確かめられません。示せるのは、画像のファイルが鑑定の時点で存在し、その後変わっていないことと、鑑定の内容です。鑑定書のタイムスタンプは、総務大臣の認定を受けたタイムスタンプではありません。警察や裁判所が鑑定書をどう扱うかも保証できません。
相談先
- 緊急のとき:110番。
- 警察に相談したい:最寄りの警察署。どこに相談すればよいかわからないときは、警察相談専用電話 #9110(平日8時30分〜17時15分が基本。都道府県によって異なります)。
- 女性相談支援センター:#8778(ストーカーや DV など、女性の様々な相談に応じます。受付時間は都道府県によって異なります)。
- 法テラス:犯罪被害者支援ダイヤル 0120-079714(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。DV・ストーカー・児童虐待を受けている人などを対象にした「DV等被害者法律相談援助」があります(資産が一定の基準以下なら無料)。近所のトラブルなど法的なトラブル全般は、法テラス・サポートダイヤル 0570-078374。
- 法務局の人権相談:みんなの人権110番 0570-003-110(平日8時30分〜17時15分)。2025年10月1日から「女性の人権ホットライン」が統合され、音声ガイダンスで1番を選ぶと、女性の人権問題の相談ができます。
- 近所のトラブル:賃貸なら大家・管理会社、分譲マンションなら管理組合、地域の問題なら自治会・町内会。話し合いで解決しないときは、簡易裁判所の民事調停。
- 弁護士:損害賠償や差止め、接近禁止の仮処分などは、弁護士に相談してください。
よくある質問
ストーカーの証拠がないと警察は動いてくれませんか?
証拠がそろっていなくても、警察には相談できます。政府広報オンラインは、不安を感じたら何か起こる前に警察に相談するよう呼びかけています。警察は被害にあった日時・場所・状況などを尋ねるので、覚えていることを時系列で書き出し、メモや届いた物、着信履歴などがあれば消さずに持っていってください。2025年12月30日からは、被害者の申出がなくても警察が職権で相手に警告できるようになりました。警告を申し出たのに警告されなかったときは、その理由が書面で通知されます。今まさに危ないときは、証拠の有無にかかわらず110番してください。
嫌がらせの証拠はどう集めればいいですか?
まず、被害があるたびに、日時・場所・相手・何があったか・見ていた人・警察などへの連絡を、その日のうちに記録します。手紙や贈り物、着信履歴、留守番電話、メッセージは消さずに残し、LINE や SNS は日時と送信者が写った画面全体をスクショします。壊された物やごみ、張り紙は片付ける前に写真を撮り、つきまといは安全な場所からスマートフォンで撮影します。データは USB メモリやパソコンにもバックアップしてください。ただし、証拠のために相手に近づいたり、相手の家に入ったりはしないでください。
防犯カメラの映像は証拠になりますか?
つきまといや物を壊す場面などが映っていれば、相談や手続で使える材料の一つになります。録画は上書きされたり、クラウドの保存期間が過ぎたりして消えるので、問題の場面は早めに書き出し、元のファイルとコピーを残してください。カメラの時計が合っているかも確かめておきます。一方で、カメラを付けるときは撮影範囲を自分の敷地などに絞り、隣の家の窓や室内を映さないようにしてください。撮影範囲によっては、撤去や賠償を命じられた裁判例もあります。なお、PEA では動画は鑑定できません。
近所の嫌がらせはどこに相談すればいいですか?
物を壊された、脅された、敷地に入られたなど犯罪にあたりうる場合や、身の危険を感じる場合は警察に相談してください(緊急なら110番、迷ったら #9110)。賃貸なら大家や管理会社、分譲マンションなら管理組合、地域の問題なら自治会にも相談できます。市区町村の市民相談や無料の法律相談を利用できることもあります。話し合いで解決しないときは、簡易裁判所の民事調停や、損害賠償・差止めを求めることを、弁護士や法テラス(0570-078374)に相談してください。
GPSを付けられていたらどうすればいいですか?
見覚えのない GPS 機器や紛失防止タグを見つけたら、自宅などに持ち帰らず、すぐに最寄りの交番や警察署に相談してください。触る前に、付いていた場所と状態を写真に撮っておくと説明しやすくなります。自分で壊したり捨てたりする前に、警察に相談してください。恋愛感情などが動機なら、無断で GPS 機器を取り付けたり位置情報を取得したりする行為はストーカー規制法の規制対象で、2025年12月30日からは紛失防止タグも対象になりました。スマートフォンの不審なトラッカーの通知機能や、見覚えのない位置情報共有アプリがないかも確認してください。
出典
- 政府広報オンライン: ストーカー行為は犯罪です!迷わず警察に相談を(2026年3月3日)
- 警察庁: ストーカー規制法が改正されました!
- 警察庁: ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律(概要)
- 警察庁 ストーカー被害防止ポータル: 相談窓口・支援制度
- 警察庁: 警察におけるストーカー・配偶者暴力事案等への対応(リーフレット)
- e-Gov 法令検索: ストーカー行為等の規制等に関する法律
- e-Gov 法令検索: 軽犯罪法(第1条)
- e-Gov 法令検索: 刑法(第130条・第208条・第222条・第230条・第231条・第261条)
- e-Gov 法令検索: 不正アクセス行為の禁止等に関する法律(第3条・第11条)
- 警視庁: 悪意の感情に基づくつきまとい行為等
- 裁判所: ご存じですか?簡単に手続できます 裁判所の民事調停
- 法テラス(日本司法支援センター)
- 法テラス: DV等被害者法律相談援助
- 法務省: 女性の人権に関する相談について
- 大阪市: 防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン
- 青森県: 防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン
- 虎ノ門桜法律事務所: プライバシーを侵害するとして、防犯カメラの撤去等が認められた事例(2016年7月29日)
- 京都市: 簡易騒音計の貸出しについて
- 佐倉市: ご近所からの騒音にお困りの方へ
- ベリーベスト法律事務所: よくある近隣トラブルと解決方法について
- ベリーベスト法律事務所: 嫌がらせによる精神的苦痛で慰謝料請求するための手順と必要なこと