まず「加工」を2種類に分ける

「この画像は加工されているか」を調べる前に、何を知りたいのかを分けておくと、結果を正しく読めます。

画像の「加工」の2つの種類
種類例写っている内容
見た目の調整明るさ・色味の補正、トリミング、回転、縮小変わらない
内容の改変合成、人や物の消去、描き足し、顔や体形の変形、AI による生成・描き換え変わる

スマートフォンで撮った写真の多くは、撮影の時点で自動の補正がかかっています。争いになりやすいのは後者の「内容の改変」なので、この記事では主にそれを見つける方法を説明します。

加工を調べる5つの確認

5つの確認は、それぞれわかることと限界が違います。1つの結果だけで判断せず、組み合わせて使うのが基本です。

5つの確認でわかること・わからないこと
確認わかること限界
① 逆画像検索同じ画像や元になった画像が、先にネット上にあるか見つからなくても「元の写真」とは限らない
② 撮影情報(Exif)撮影日時・機種・編集ソフトの記録SNS で消えることが多く、書き換えもできる
③ 電子署名(C2PA)撮影機器や編集ソフトが記録した来歴と、その改ざんの有無付いている画像はまだ少ない
④ 痕跡の解析(ELA など)圧縮のむら、ノイズの不自然さなど、部分的な加工の手がかり読み取りに慣れが必要で、再圧縮で消える
⑤ 見た目の矛盾影・反射・遠近・輪郭などの物理的な不自然さ上手な加工や最新の AI では見つからないことがある

最初に、同じ画像や元になった画像がネット上にないかを調べます。Google 画像検索(Google レンズ)や TinEye に画像をアップロードすると、似た画像が掲載されたページを探せます。

  • 元の画像が見つかったら、並べて比べます。人や物が消えていないか、文字が変わっていないか、背景が差し替えられていないかを見ます。
  • より古い日付で、別の場所・別の出来事として掲載されていれば、使い回しの可能性があります。

ただし、見つからないことは「元の写真である」証拠にはなりません。個人が撮ったばかりの写真や、AI で1枚だけ作られた画像は、そもそも検索に出てきません。

② 撮影情報(Exif)を見る

デジタルカメラやスマートフォンの写真には、撮影日時・機種・レンズ・設定などの撮影情報(Exif)が記録されていることがあります。編集ソフトで保存し直すと、そのソフトの名前が残る場合もあります。パソコンのファイル情報や、無料の Exif 閲覧サイトで確認できます。

撮影情報が無くても、加工の証拠にはなりません。多くの SNS やメッセージアプリは、投稿・送信のときに撮影情報を削除したり、画像を再圧縮したりします。逆に、撮影情報は無料のツールで書き換えられるので、残っていても決定的な証拠とは言えません。

③ 電子署名(C2PA)を確かめる

一部のカメラやスマートフォン、編集ソフトは、C2PA(コンテンツクレデンシャル)という国際的な規格で、撮影や編集の来歴に電子署名を付けます。署名付きの画像なら、Content Credentials Verify などの確認ツールで、どの機器・ソフトで作られ、どんな編集が記録されているか、署名の後に書き換えられていないかを確かめられます。

  • 署名があり検証に通れば、記録された来歴については強い手がかりになります。
  • いまのところ署名付きの画像は少なく、SNS を経ると署名が消えることも多いため、署名が無いことは加工の証拠になりません。
  • 署名が示すのは「誰が・何で作ったと記録したか」です。写っている内容そのものが本当かどうかまでは保証しません。

④ 画像の痕跡を解析する(ELA など)

画像の一部だけを加工して保存し直すと、その部分だけ圧縮の具合やノイズの出方が周りと変わることがあります。代表的な方法が、エラーレベル解析(ELA)です。FotoForensics などの無料ツールで試せます。

  • 加工された部分が、周りと違う明るさ・模様で浮き上がって見えることがあります。
  • 一方で、輪郭の強い部分や、何度も保存し直した画像では、加工していなくてもむらが出ます。ELA の画像だけで「加工あり」と決めつけるのは危険で、読み取りには慣れが必要です。
  • ノイズの出方や、部分ごとの細かな不自然さも、合成や描き換えの手がかりになります。

⑤ 見た目の矛盾を探す

最後に、画像を拡大して、物理的に筋が通らない部分がないかを見ます。

  • 影と光:人や物の影の向きが、光源とそろっているか。
  • 反射:鏡・窓・水面・瞳に映るものが、実際の配置と合っているか。
  • 直線のゆがみ:体の周りの柱・ドア枠・床の目地などが不自然に曲がっていれば、体形を変える「ゆがみ加工」の手がかりになります。
  • 輪郭と質感:切り抜いた境目がにじんでいないか、同じ模様が不自然に繰り返されていないか(コピーで消した跡)。
  • 文字:看板や書類の文字が崩れていないか、フォントや傾きがそろっているか。

生成AIによる部分的な消去・描き換え

最近は、写真の一部を AI で消したり描き換えたりする機能が、スマートフォンや編集ソフトに標準で入っています。人や物を消した跡は周りの背景で自然に埋められるため、目で見て気づくのは難しくなりました。

  • 埋められた部分だけ、ノイズの粒感や細部の質感、光の当たり方が周りと違うことがあります。④の痕跡の解析が手がかりになります。
  • 一部のアプリや編集ソフトは、AI で編集したことを撮影情報や C2PA に記録します。記録が残っていれば③の確認で見つかります。

見抜けないケースと、その理由

SNS に投稿された画像、LINE で送られた画像、スクリーンショットは、加工の痕跡がほとんど残っていないことがあります。再圧縮や縮小で、④の痕跡が上書きされるためです。

この状態では、劣化した本物の写真と、加工の跡を消した画像を区別できません。調べて何も見つからなかったとしても、「加工されていない」ではなく「判断の材料が足りない」と受け止めるのが正確です。可能なら、撮影したままの元のファイル(送信や保存を経ていないもの)を手に入れて調べ直しましょう。

争いになりそうなときの備え

画像が取引・人間関係・職場のトラブルなどの証拠になりそうなときは、調べる前に次のことをしておくと、後で説明しやすくなります。

  1. 受け取ったファイルをそのまま保存する。編集ソフトで開いて保存し直したり、スクリーンショットで撮り直したりしない。
  2. 入手の経緯を記録する。誰から、いつ、どのアプリで受け取ったか。
  3. ファイルの状態を固定する。ファイルのハッシュ値(SHA-256)を記録しておけば、その後に1バイトでも変わったかどうかを確かめられます。
  4. 重要な場面では専門家に相談する。証拠として採用されるかどうかは裁判所などが判断します。弁護士など専門家の確認をあわせて使ってください。

PEA で調べるとどうなるか

PEA は、撮影情報や電子署名などの記録、画像に残る痕跡、見た目の整合を、性質の異なる8つの解析でまとめて確かめ、結果がどれだけ同じ向きにそろうかで1〜10のグレードを付けます。1つの判定器の数字では決めず、判断の材料が足りない画像は「判定不能(グレード5)」と表示します。

  • 無料の鑑定(1日1件)で、グレードと判定の要約がわかります。
  • 残したい結果は7日以内に鑑定書(1件1,000円)にすると、すべての所見と確信度、PDF の鑑定書、第三者が照合できる封印(電子署名+タイムスタンプ)が付き、期限なしで保存されます。
  • 鑑定書が証明するのは「そのファイルがその時点で存在し、以後変わっていないこと」と鑑定の内容です。撮影日時そのものを証明するものではありません。

よくある質問

画像が加工されているか、無料で調べられるサイトはありますか?

あります。元の画像を探すなら Google レンズや TinEye、痕跡を見るなら FotoForensics のエラーレベル解析(ELA)、電子署名を見るなら Content Credentials Verify が無料で使えます。PEA も1日1件まで無料で、8つの解析をまとめて行います。ただし、どのツールも「加工されていない」ことを保証するものではありません。

明るさの調整やトリミングも「加工」と判定されますか?

明るさ・色味の調整やトリミングのように写っている内容を変えない編集と、合成・消去・描き足しのように内容を変える加工は、分けて考える必要があります。PEA が主に調べるのは後者です。ただし強い美肌補正やゆがみ補正は、加工の候補として検出されることがあります。

画像が加工されていないことを証明できますか?

「加工がまったくない」ことを100%証明する方法はありません。できるのは、解析できた範囲で加工の痕跡が見つからなかったことを示すことと、手元のファイルがその時点から変わっていないことを記録することです。重要な場面では、元のファイル、入手経路の記録、専門家の確認をあわせて使ってください。

スクリーンショットや LINE で送られた画像でも調べられますか?

調べることはできますが、再圧縮や縮小で痕跡が失われるため、判定できないことが多くなります。可能なら、撮影したままの元のファイルを送ってもらいましょう。

出典