まず安全を。今、危険を感じるときは

  • 今まさに危ない、暴力を振るわれそうなときは、ためらわず110番。けがや体調の急変は119番。
  • DV相談ナビ(#8008):全国共通の番号にかけると、最寄りの配偶者暴力相談支援センターにつながります。通話料がかかり、受付は各相談機関の受付時間内です。つながらないときは、都道府県や市区町村の配偶者暴力相談支援センターに直接電話してください。
  • DV相談+(プラス):内閣府の相談窓口です。電話(0120-279-889)は24時間受付、チャットは12時〜22時。男性の相談にも対応しています。
  • 配偶者暴力相談支援センター:相談や相談機関の紹介、緊急時の安全の確保と一時保護、保護命令の制度を使うための情報提供や助言などを行います(配偶者暴力防止法第3条)。一時保護は、相手と離れた施設で一時的に安全に暮らすことで、費用はかかりません。
  • 警察:緊急でない相談は、最寄りの警察署か警察相談専用電話 #9110 へ。警察は、相手の検挙が難しい場合でも、相手への指導・警告や、被害者への防犯の指導などを行います。
  • 証拠集めより、安全と避難が先です。証拠を集めていることが相手に知られると、かえって暴力が激しくなるおそれがあります。「証拠がそろってから」と危険な場所にとどまる必要はありません。
  • 避難先を知られないための手続もあります。市区町村に申し出て支援の必要性が確認されると、相手からの住民票の写しなどの請求を制限できます(DV等支援措置)。申し出の前に、原則として警察や配偶者暴力相談支援センターなどに相談することになっています。
  • 相手と共有しているスマートフォンやパソコンで調べたり、相談したりしない。閲覧や通話の履歴から、相談していることが知られるおそれがあります。

法律でいう DV と、対象になる相手

  • 「配偶者からの暴力」:配偶者からの身体に対する暴力、またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動(配偶者暴力防止法第1条)。内閣府は、後者には精神的な暴力や性的な暴力も含まれると説明しています。
  • 事実婚も含みます。別居中の配偶者からの暴力も対象です。離婚した後も、離婚前から受けていた暴力が引き続いている場合は対象になります(内閣府Q&A)。
  • 同棲している交際相手(生活の本拠を共にする交際相手)からの暴力にも、この法律が準用されます(第28条の2。詳しくは交際相手からの暴力)。
  • 男性の被害者も対象です。

身体的な暴力として、内閣府は、平手で打つ、足で蹴る、げんこつで殴る、物を投げつける、髪を引っ張る、首を絞める、腕をねじる、刃物などの凶器を体に突きつける、などを挙げています。そして、こうした行為は刑法の傷害罪(第204条)や暴行罪(第208条)にあたる違法な行為で、夫婦の間で行われても処罰の対象になると説明しています。

この記事は、こうした身体的な暴力の証拠と、保護命令の手続を中心に説明します。暴言や無視、生活費を渡さないといった精神的・経済的な暴力の証拠の残し方は、モラハラの証拠の集め方で詳しく解説しています。

証拠が必要になるのは、どんな場面か

  1. 保護命令を申し立てるとき(地方裁判所):相手に近づかないよう命じてもらうには、暴力や脅迫を受けたこと、さらに暴力を受けて重大な危害を受けるおそれが大きいことを、資料で示す必要があります(次の節)。
  2. 警察に被害を申告し、処罰を求めるとき:法律事務所の解説では、診断書がないと、暴力によってけがをしたことを示せず、検挙に至らない場合もあると説明されています。
  3. 離婚や慰謝料を求めるとき:相手が離婚に合意すれば、理由の証明は求められません。相手が離婚を拒んで裁判になると、DV が民法第770条第1項第4号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたることを示す必要があると、法律事務所は説明しています。進め方は、モラハラの証拠の集め方の「証拠が必要になるのは、どんなときか」をご覧ください。

法律事務所の解説では、DV の立証で求められるのは「暴力が日常的に行われていること」と「警察や医療機関を頼るほどの被害を自覚していたこと」だと説明されています。1つの決定的な証拠を探すより、写真・診断書・相談の記録が同じ出来事を指している状態をつくることが大切です。

保護命令のしくみと、申立てに出す証拠

保護命令は、被害者の申立てにより、地方裁判所が相手に対し、つきまといや住居の付近をうろつくことなどを禁じる命令です。保護命令に違反すると犯罪になり、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金の対象です(第29条)。命令が出た後に相手が近づいてきたら、110番してください。

保護命令の種類と、2024年・2025年の改正

保護命令の種類と期間(配偶者暴力防止法第10条・第10条の2)
命令内容期間
接近禁止命令被害者の身辺につきまとうこと、住居・勤務先などの付近をうろつくことを禁止1年間
電話等禁止命令面会の要求、監視していると告げること、著しく乱暴な言動、無言電話、緊急時以外の連続した電話・文書・メール・SNS などの送信、深夜早朝の送信、汚物などの送付、名誉や性的羞恥心を害することを告げることや画像の送信、GPS や紛失防止タグによる位置情報の無断取得や取り付け、などを禁止接近禁止命令の期間中
子への接近禁止命令・電話等禁止命令同居する未成年の子へのつきまといや連絡などを禁止(子が15歳以上なら、その子の同意が必要)接近禁止命令の期間中
親族等への接近禁止命令親族など、被害者と密接な関係のある人へのつきまといなどを禁止(その人の同意が必要)接近禁止命令の期間中
退去等命令一緒に住む住居から出ていくこと、その付近をうろつくことを命じる。申し立てた時点で生活の本拠を共にしている場合に限る2か月(住居の所有者または賃借人が被害者だけの場合は、申立てにより6か月)

どんなときに出るか(要件):接近禁止命令などは、①相手から身体に対する暴力、または生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると告げる脅迫を受けた人が、②さらに暴力や脅迫を受けることで、生命または心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときに出されます(第10条第1項)。

2024年4月1日に施行された改正では、脅迫の対象に「自由・名誉・財産」が加わり、発令の要件が「生命または心身に重大な危害」を受けるおそれに広がり、接近禁止命令などの期間が6か月から1年に延び、電話等禁止命令の対象が広がり、保護命令違反の罰則が引き上げられました(内閣府の概要資料)。さらに、2025年12月30日に施行された改正で、いわゆる紛失防止タグを使って位置情報を無断で取得したり、持ち物に取り付けたりする行為も、禁止する行為に加わりました。

「暴言だけ」で保護命令が出るとは限りません。東京地方裁判所の Q&A は、「馬鹿だ」「無能だ」などの暴言は、それだけで直ちに要件の「脅迫」にあたるとはいえず、いわゆる精神的 DV やモラハラがすべて保護命令の要件の「脅迫」にあたるわけではない、と説明しています。一方、自由・名誉・財産に害を加えると告げるような場合は、対象になりうるとされています。また、「心」への重大な危害を理由に申し立てるときは、医師の診断書を添付する必要があります(内閣府Q&A)。

申立てに出す書類と証拠

東京地方裁判所の案内では、申立てのときに次のものを出します(さいたま地方裁判所もほぼ同じ内容です)。

  • 保護命令申立書(裁判所用と、相手方に送る分)
  • 当事者の関係を示す資料:夫婦なら戸籍謄本や住民票。同棲している交際相手なら、住民票、交際中の写真、メールや手紙の写し、賃貸借契約書、公共料金の請求書、陳述書など
  • 暴力・脅迫を受けたことを示す資料:例として、診断書、けがをした部位の写真、申立人本人や第三者の陳述書
  • 今後、重大な危害を受けるおそれが大きいことを示す資料:例として、診断書、本人や第三者の陳述書、メールや手紙の写し
  • 申立手数料の収入印紙1,000円と、郵便切手(金額は裁判所ごとに異なります)

申立先は、相手の住所、自分の住所や居所(一時保護を受けている施設なども含む)、暴力が行われた場所のいずれかを管轄する地方裁判所です(第11条)。緊急に命令を出さなければ生命や身体に重大な危険が生じるおそれがある場合などは、相手の話を聞かずに命令が出されることもあります。

出した書類と証拠の写しは、相手に送られます。東京地方裁判所は、相手に知られたくない連絡先(避難先)が書類に書かれていないか、十分に確認してから提出するよう求めています。けがや部屋の写真に、避難先がわかるもの(窓の外の景色、郵便物、施設の名前など)が写っていないかも確かめてください。

申立ての前に、センターか警察に相談しておく

  • 申立書に、相談した事実を書く決まりがあります。配偶者暴力相談支援センターの職員か警察職員に、暴力を受けた状況などを相談したり、援助や保護を求めたりした事実があるかどうか。あれば、その窓口の名称、相談した日時と場所、相談の内容、とられた措置を書きます(第12条第1項第5号)。
  • 相談の記録は、裁判所に直接届きます。裁判所は、そのセンターや警察署に、相談したときの状況ととった措置を書いた書面を出すよう求めます(第14条第2項)。
  • 相談していない場合は、公証人の認証が必要です。暴力を受けた状況などを書いた書面を公証役場に持っていき、認証を受けて、申立書と一緒に出します(第12条第3項)。内閣府によると、手数料は1万1,000円です。
  • 電話だけでは足りないと案内する裁判所があります。東京地方裁判所とさいたま地方裁判所の Q&A は、センターか警察署に行ってあらかじめ相談し、援助や保護を求めたうえで申し立てるよう案内し、電話で相談しただけでは足りないとしています。
  • 相談した日、窓口の名前、担当した人、伝えた内容を、自分でもメモしておきましょう。

DVの証拠になるもの

法律事務所や裁判所の案内で、DV の証拠として挙げられているのは、けがの写真、医師の診断書・受診の記録、警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談の記録、壊された物や荒らされた部屋の写真、脅しや暴力の後の謝罪のメッセージと着信履歴、暴力の場面の録音・録画、日記・メモ、目撃した人や直後に相談した家族・友人の話(陳述書)です。

証拠の種類ごとの残し方と注意点

DVの証拠の種類と、残し方・注意点(一般論)
証拠の種類残し方注意点
けがの写真できるだけ早く、顔が入った写真と、傷のアップを、同じ構図で複数枚。大きさがわかる物を添える。撮った日時をメモし、経過も撮る加工やトリミングをしない。元のファイルを残す。下着で隠れる部位は無理に撮らず、医療機関や警察に相談
診断書・受診の記録軽いけがでも受診し、誰に何をされたかを医師に伝える。初診日や治療期間が入った診断書をもらう。診察券や領収書も残す何を書くかは医師の判断。心の不調も受診を。保護命令で心への危害を主張するなら診断書が必要
警察・センターへの相談の記録窓口に行って相談し、日時・窓口名・担当者・伝えた内容をメモする保護命令の申立書に書く事項。電話だけでは足りないとする裁判所がある。記録の取り寄せ方は窓口に確認
壊された物・部屋の写真壊された物、壁の穴、荒らされた部屋を、片付ける前にありのまま撮る。壊れた物は捨てずに保管避難先がわかる物を写さない
LINE・メール・着信履歴脅しや謝罪のメッセージを、日時と相手の表示名が入った画面全体で、前後ごと保存。着信の日時もメモ送信を取り消されると消える。届いたら保存。相手の端末は見ない
録音・録画自分がいる場面を、前後を含めて。元のファイルを編集せずに保存見つかると危険が増すおそれ。自分がいない場所の会話を録らない
日記・メモその日のうちに、日時・場所・されたこと・けがの部位・受診や通報の有無を具体的に後からまとめて書いたものは信用されにくい。ほかの記録と合わせる
まわりの人の話目撃した人、物音を聞いた人、直後に相談した家族や友人の話を書き留める。陳述書にして署名してもらう方法も証言だけでは重みが小さいとされることが多い

この表は、法律事務所の解説や裁判所の案内をもとにした一般的な傾向です。実際にどう評価されるかは、事案ごとに異なります。

けがの写真の撮り方

  1. できるだけ早く撮る。あざや傷は、時間がたつと消えていきます。法医学の専門家は、皮下出血(あざ)は時間とともに色が変わり、一般に2〜5週間ほどで治ると説明しています。
  2. 誰のけがかわかるように、顔も入れる。けがをした部分と顔が1枚に写る写真を撮っておくと、信用されやすいと法律事務所は説明しています。
  3. 全体とアップの両方を撮る。体のどの部位のけがかがわかる写真と、傷を近くで撮った写真を、複数枚残します。
  4. 大きさがわかる物を一緒に写す。医療者向けの記録の解説では、ものさしなど大きさがわかる物を一緒に撮ること、同じ構図で複数枚撮ることが勧められています。
  5. 撮った日時をメモする。暴力を受けた日時と、写真を撮った日時を書き留めておきます。
  6. 経過も撮る。あざの色の変化を同じように撮っておくと、経過の記録として役立つことがあります。
  7. 加工しない。明るさの調整やトリミング、フィルターをかけると、編集を疑われるもとになります。撮ったままの元のファイルを残してください。
  8. 壊された物や部屋の様子も撮る。壊れた家具や家電、壁の穴、荒らされた部屋は、片付ける前に撮ります。

撮った写真の日付を、後から示しやすくするには。スマートフォンの写真の撮影日時の記録は、後から書き換えることもできます。撮ったその日のうちに、信頼できる家族や友人に写真を送っておくと、相手の側にも記録が残ります。ただし、LINE などで送ると画像が圧縮され、撮影日時などの記録が消えることがあるため、送った後も元のファイルは端末に残してください。方法の詳細は、写真の日付を証明するには?の「その日のうちに人に送る」と「遅くとも」と「早くとも」で解説しています。

下着で隠れる部位のけがや、性的な暴力を受けたときは、無理に自分で写真を撮らなくてかまいません。医療機関や警察、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)に相談してください。

診断書・受診の記録

  • 軽いけがでも受診する。医師の診断書や受診の記録は、DV の有力な証拠になると法律事務所は説明しています。
  • 安心して受診してください。医師などの医療関係者は、DV によるけがを見つけたとき、センターや警察に通報することができますが、その場合も本人の意思を尊重するよう努めることになっています(第6条第2項)。
  • 医師に、暴力を受けたことを伝える。「いつ、誰に、何で、体のどこを」されたかを伝え、小さなけがも診てもらい、初診日や治療にかかる期間がわかる診断書を書いてもらうよう勧める法律事務所があります。ただし、診断書に何を書くかは医師が判断します。
  • 心の不調も受診を。保護命令で「心」への重大な危害を主張するときは、通院が必要な症状が出ていることを示す診断書が必要です。
  • 診察券・領収書・お薬手帳も残す。いつ受診したかを示す材料になります。

警察・相談支援センターへの相談の記録

  • 相談した記録は、第三者が作った記録です。警察や配偶者暴力相談支援センターに相談した事実は、こちらの主張を裏づけるのに役立つ可能性があると、法律事務所は説明しています。
  • 保護命令の手続にも直結します。申立書に相談の事実を書き、裁判所がその窓口に書面を求めます(申立ての前に、センターか警察に相談しておく)。
  • 110番で警察官が来たときも、通報した日時、来た警察官の所属、どんな対応だったかをメモしておきましょう。保護命令の申立書に書く「相談」として足りるかどうかは、後日あらためて警察署やセンターに相談するときに確かめてください。
  • 記録を手元に取り寄せたいとき。相談カードなどの書面を出してもらえる場合があると説明する法律事務所があります。警察が持っている自分の個人情報は、個人情報保護法にもとづいて開示を請求する手続もあります。どの記録がどこまで開示されるかは、相談した窓口に確かめてください。

LINE・録音・録画(カメラ)・日記

  • LINE・メール:「殺す」などの脅しのメッセージは、脅迫や、保護命令の要件の「脅迫」を示す材料になりえます。暴力の後に届く謝罪のメッセージも、暴力があったことを示す証拠になりうると、法律事務所は説明しています。日付・時刻・相手の表示名が入った画面全体を、前後の流れごと保存してください(スクショは証拠になる?の「LINE のトークを残すには」)。
  • 着信履歴:機種によっては日時が表示されないことがあるため、どの番号から何月何日何時何分に着信があったかをメモするよう勧める法律事務所があります。
  • 録音・録画:暴力の場面を記録した音声や動画は、有力な証拠になりえます。ただし、録音や録画をしようとしていることが相手に知られると、より激しい暴力につながるおそれがあります。録るより、その場を離れること、110番することを優先してください。自分がいない場所に録音機やカメラを置くのは避けてください(モラハラの証拠の集め方の「録音するときの注意」)。
  • 日記・メモ:暴力を受けたら、その日のうちに、日時、場所、されたこと(何で、体のどこを、何回)、けがの部位、受診・通報・相談をしたか、写真や録音があるかを具体的に書きます。書き方の例はモラハラの証拠の集め方の「日記・メモの書き方」をご覧ください。

集めた証拠の置き場所

  • 相手と共有している端末、写真のアルバム、クラウドに置かない。相手も見られるアカウントに自動でバックアップされる設定になっていないか確かめてください。
  • 相手が触れられない場所にコピーを残す。信頼できる家族や友人に預ける、相談窓口や弁護士に相談して保管のしかたを決める、などの方法があります。
  • 紙の診断書や相談の控えも、相手に見つからない場所に保管します。
  • 避難するときは、証拠のために危険な場所にとどまらないでください。持ち出せる範囲でかまいません。

証拠がない・不十分なときにできること

  • 証拠がなくても、相談できます。DV相談+は、「これって DV かな?」という段階でも相談できる窓口です。配偶者暴力相談支援センターや警察に相談すること自体が、後の手続で使える記録になります。
  • 自分の陳述書も、証拠の1つです。裁判所は、暴力を受けたことを示す資料の例として、診断書や写真と並べて「申立人本人や第三者の陳述書」を挙げています。いつ、どんな暴力を受けたかを、覚えている範囲で時系列に書き出してみてください。
  • 時間がたっていても、あきらめなくてかまいません。内閣府は、暴力を受けてから3か月がたっている場合でも、さらに暴力を受けて重大な危害を受けるおそれが大きいと判断されれば命令は出され、一律に「これ以上たったらだめ」というものではないと説明しています。
  • ただし、出すかどうかは裁判所が判断します。何をそろえればよいかは、配偶者暴力相談支援センターや弁護士に相談してください。
  • 手元に残っているものを探す。以前に受診した医療機関、相談したことのある窓口、被害の直後に家族や友人に送ったメッセージ、撮ったまま忘れている写真などが、材料になることがあります。
  • 今日から残し始める。次に何かあったら、その日のうちに写真を撮り、受診し、日記に書き、窓口に相談してください。
  • 避難や一時保護の相談は、保護命令とは別です。証拠がそろっていなくても、まず相談してください。

交際相手(彼氏・彼女)からの暴力

内閣府は、交際相手からの暴力を「デートDV」と呼び、「別れることに相手のOKはいりません」と伝えています。どの法律で守られるかは、一緒に暮らしているかどうかで変わります。

同棲している(生活の本拠を共にしている)交際相手:配偶者暴力防止法が準用され、保護命令も申し立てられます(第28条の2)。ルームシェアなど友人関係にもとづく共同生活は含まれません。同棲をやめた後も、同棲していた間から受けていた暴力が引き続いている場合は対象です。申し立てるときは、同棲していたことを示す資料も出します。

同棲していない交際相手:保護命令は使えません。それでも、次の方法があります。

  • 暴力は犯罪です。殴る・蹴るなどは、交際関係にあるかどうかに関係なく、暴行罪や傷害罪にあたりえます。「殺す」などと告げられた場合は脅迫罪、物を壊された場合は器物損壊罪にあたる可能性があります。最寄りの警察署に相談してください。
  • つきまといには、ストーカー規制法があります。恋愛感情などから、つきまとい、待ち伏せ、押しかけ、拒まれても続く電話やメッセージ、位置情報の無断取得などをくり返すと、ストーカー規制法の対象になります。詳しくはストーカー・嫌がらせの証拠の集め方をご覧ください。
  • 弁護士を通じた方法もあります。内閣府は、相手が近づくことなどを禁じる民事保全法の仮処分の命令を、地方裁判所に求める方法を紹介しています。けがの治療費や慰謝料を、損害賠償として求めることも考えられます。
  • 相談先:内閣府は、デートDV の相談先として DV相談ナビ(#8008)を案内しています。DV相談+も、パートナーからの暴力について相談を受け付けています。

やってはいけないこと

  • 問い詰める、集めた証拠を突きつける、「訴える」と告げる。相手を刺激して、危険が増すおそれがあります。
  • 挑発して、暴力や暴言を引き出す。自分の言動も記録に残ります。
  • 証拠を集めるために、危険な場所にとどまる。避難や相談を先にしてください。
  • 相手のスマートフォンを無断で見る、相手の ID やパスワードでログインする。他人の ID やパスワードを無断で使ってログインすることは、不正アクセス禁止法で禁止されていて(第3条)、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります(第11条)。夫婦や恋人の間でも例外ではありません。
  • 自分がいない場所に録音機やカメラを仕掛ける。証拠として使えなかったり、責任を問われたりするおそれがあります。
  • SNS に書き込む、けがの写真を公開する。名誉毀損やプライバシーの侵害などの問題になるおそれがあるうえ、写真や書き込みから居場所を知られるおそれもあります。
  • 写真や録音を加工する、都合のよい部分だけを残して元を消す。記録全体が信用されなくなるおそれがあります。
  • 相手と共有している端末やクラウドに証拠を置く。見られたり、消されたりするおそれがあります。

PEA でできること・できないこと

PEA は、画像を性質の異なる8つの解析で調べ、AI による生成・加工の手がかりを1〜10のグレードで示す画像鑑定サービスです。暴力があったかどうかを判断するサービスではありません。危険なときは110番、そして受診・写真・相談。これがいちばん先にやることです。PEA は、そのうえで使う追加の手段です。

  • 無料の鑑定(1日1件)で、グレードと判定の要約がわかります。登録とメールアドレスの確認が必要です。
  • けがや壊された物の写真に、AI による生成や加工の手がかりがあるかを判定します。相手から「その写真は加工だ」「AI で作った」と言われたときに、確かめる材料の1つになります。
  • 鑑定に出すのは、スマートフォンで撮った元のファイルにしてください。LINE などで送った画像は圧縮され、判断の材料が減ります。強い圧縮などで判断の材料が残っていない画像は「判定外(Grade -)」とし、有人鑑定をご案内します。
  • 脅しのメッセージのスクショには、トークを特定する表示がそろっているかを示します。痕跡が見つからないスクショはグレード6(改変の兆候なし)までとし、画面に表示された内容が実在したかは対象外であることを鑑定書に明記します。
  • その時点のファイルの状態を固定できます。鑑定書(1件¥1,000)にすると、鑑定した時点のファイルのハッシュ値を電子署名で封印し、第三者の時刻認証局によるタイムスタンプ(RFC 3161)を付けた鑑定書になります(タイムスタンプの時刻は、鑑定した時点です)。弁護士などの第三者が、照合のページで証明書番号を入力して確かめられます。料金は料金のページをご覧ください。
  • 残したい写真は、撮った日のうちに鑑定してください。無料の鑑定の結果は7日で消えるため、鑑定書にするのはその7日以内です。
  • 写真に記録された撮影日時や位置情報は、撮影日時・位置情報の確認ツール(無料・登録不要)で、画像を送信せずに確かめられます。人に写真のファイルを渡す前に、避難先の位置情報が記録されていないか確かめるのにも使えます。
  • 鑑定できるのは画像のファイル(JPEG・PNG・HEIC、25MBまで)です。録音(音声)や動画は鑑定できません。
  • 画像は、ご本人だけが見られる設定で保存します。運営者は画像を見ません。担当者が画像を確認するのは、有人鑑定をご依頼いただき、開示に同意された場合だけです。鑑定の一部では、外部の解析サービスに画像を送信します(送信先はプライバシーポリシーに記載しています)。

DV の被害で使うときの注意

  • 相手に知られないように。相手と共有している端末やメールアドレスで使うと、利用したことを相手に知られるおそれがあります。
  • 鑑定書の照合ページには、ファイル名が表示されます。避難先の地名や自分の名前などがファイル名に入っていれば、鑑定に出す前に変えてください。
  • 裸や性的な写真が写った画像は、送らないでください。本人の同意のない他人の性的な画像の提出は、利用規約で禁止しています。

PEA は、暴力があったか、誰がけがをさせたか、けがをいつ負ったか、写っている内容が事実かは確かめられません。示せるのは、画像のファイルが鑑定の時点で存在し、その後変わっていないことと、鑑定の内容です。鑑定書のタイムスタンプは、総務大臣の認定を受けたタイムスタンプではありません。鑑定書が保護命令の手続や裁判で証拠として採用されることも保証できません。保護命令を出すかどうかは、裁判所が判断します。

相談先

  • 身の危険を感じるとき:緊急のときは110番。DV相談ナビ(#8008)で最寄りの配偶者暴力相談支援センターに、DV相談+(0120-279-889、24時間)で電話やチャットの相談ができます。緊急でない警察への相談は #9110 です。
  • 一時保護・避難・保護命令の申立て:配偶者暴力相談支援センター。申立書の書式は、各地方裁判所のウェブサイトに掲載されています。
  • 性的な暴力を受けたとき:性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891)。
  • DV の被害についての法律相談:法テラスの「DV等被害者法律相談援助」は、DV やストーカー、児童虐待の被害を受けている人、受けるおそれのある人なら、資力にかかわらず利用できる法律相談です(資産が一定の基準を超える場合は相談料がかかります)。申込みは犯罪被害者支援ダイヤル 0120-079714(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。
  • 離婚や慰謝料の法律相談:法テラスの無料法律相談(収入と資産が一定の基準以下などの条件あり)や、地域の弁護士会の法律相談センター。詳しくはモラハラの証拠の集め方の「相談先」をご覧ください。

よくある質問

DVの証拠になるものは何ですか?

けがの写真、医師の診断書や受診の記録、警察や配偶者暴力相談支援センターへの相談の記録が、重みのある証拠とされています。このほか、壊された物や荒らされた部屋の写真、脅しや暴力の後の謝罪の LINE・メール、暴力の場面の録音・録画、その日のうちに書いた日記、目撃した人の話なども材料になります。1つで決め手になるより、写真・診断書・相談の記録が同じ出来事を指していることが大切です。証拠集めを相手に知られると危険が増すおそれがあるため、安全を優先してください。

DVの証拠がないときは、どうすればいいですか?

証拠がなくても、配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ #8008)、DV相談+(0120-279-889、24時間)、警察に相談できます。窓口に相談したこと自体が記録になり、保護命令の申立書には相談した事実を書くことになっています。申立てでは、自分で書いた陳述書も証拠の1つとして出せます。そのうえで、次に何かあったら、その日のうちに写真を撮り、受診し、日記に書いてください。命令を出すかどうかは裁判所が判断するため、何をそろえるかはセンターや弁護士に相談してください。

けがの写真は、どう撮ればいいですか?

暴力を受けたら、できるだけ早く撮ります。誰のけがかわかるように顔も入れた写真と、傷のアップを、同じ構図で複数枚撮り、ものさしなど大きさがわかる物を一緒に写すと、けがの大きさが伝わります。撮った日時をメモし、あざは日がたつと色が変わるので、経過がわかるように撮っておくと役立つことがあります。加工やトリミングはせず、元のファイルを残し、軽いけがでも受診して診断書をもらってください。下着で隠れる部位のけがは、無理に撮らず医療機関や警察に相談してください。

保護命令に証拠は必要ですか?

必要です。申立てでは、暴力や脅迫を受けたこと、さらに暴力を受けて重大な危害を受けるおそれが大きいことを示す資料を出します。裁判所は例として、診断書、けがをした部位の写真、本人や第三者の陳述書、メールや手紙の写しを挙げています。また、申立書には、配偶者暴力相談支援センターか警察に相談したかどうかを書き、相談していない場合は公証人の認証を受けた書面が必要です。電話での相談だけでは足りないと案内する裁判所もあるため、窓口に行って相談しておきましょう。

同棲していない彼氏からの暴力も、DVとして相談できますか?

相談できます。内閣府は、交際相手からの暴力を「デートDV」として、DV相談ナビ(#8008)を相談先に案内しています。ただし、配偶者暴力防止法の保護命令を申し立てられるのは、同棲している(生活の本拠を共にする)交際相手からの暴力の場合です。同棲していない相手でも、殴る・蹴るは暴行罪や傷害罪にあたりえ、別れた後のつきまといなどはストーカー規制法の対象になりえます。けがの写真と受診記録を残し、警察に相談してください。

出典