まず残すもの(チェックリスト)

誹謗中傷の投稿を見つけたら、削除を依頼したり相談したりする前に、まず記録を残します。警察庁は、掲載されたページを印字し、サイトの名称、URL、書き込み者、書き込み日時、内容などを記録するよう案内しています。誹謗中傷ホットライン(セーファーインターネット協会)も、法的な手続や警察・弁護士への相談を考えるなら、投稿のスクリーンショット・投稿日時・URL を記録しておくよう勧めています。

これらを、誹謗中傷の投稿に合わせて具体的にすると、次のようになります。

  • サイト・サービスの名前(X、Instagram、掲示板の名前など)
  • 投稿の URL(投稿ごとに。アカウントのページではなく、その投稿を開いたときの URL)
  • 投稿したアカウント:表示名だけでなく、ID(@ から始まるユーザー名など)とプロフィールページの URL
  • 投稿日時(画面に表示されたとおり)
  • 投稿の内容:投稿を個別に開いた画面全体のスクショ。画像や動画の投稿なら、その画像・動画も
  • 前後の投稿・返信のつながり・スレッド全体:どんな流れで書かれたか
  • あなたのことだとわかる材料:名前が書かれていない、あだ名やハンドルネームで書かれている場合は、それがあなたを指すとわかる前後の投稿やプロフィール画面
  • 相手のプロフィール画面
  • 同じ内容を繰り返し投稿・拡散しているアカウントがあれば、その投稿の URL も
  • 自分が保存した日時・方法・使った端末
  • 受けた影響のメモ(仕事・生活・体調の変化など。あとで弁護士に説明するときの材料になります)

「あなたのことだとわかる材料」は見落としやすい点です。法務省の委託で作られた削除依頼の手引きでも、TikTok に名誉毀損で削除を申し出る例で、本名以外で書かれている場合はそれがあなたを指すとわかるプロフィール画面などのスクリーンショットを、名前が書かれていない場合は前後の投稿やコメントのスクリーンショットを、資料として準備するよう案内しています。

投稿の一覧表をつくる

投稿が多いときは、スクショとは別に、表計算ソフトやメモで投稿の一覧表をつくっておくと、相談のときに説明しやすくなります。東京地方裁判所が公開している発信者情報開示命令の申立書の記載例でも、投稿ごとに「アカウント名」「閲覧用 URL」「投稿日時」を並べた目録を付けています。

投稿の一覧表の例(列の見出し)
番号サイト名投稿の URLアカウント名・ID投稿日時(表示どおり)保存した日時保存したファイル名・方法メモ
1(例)Xhttps://…表示名・@ID2026/10/05 21:142026/10/05 21:30IMG_0123.PNG(スクショ)削除済みか など

URL・アカウントID・投稿日時が大切な理由

スクショは「何が書かれていたか」を示せますが、それだけでは「どの投稿か」「誰のアカウントか」「いつの投稿か」が特定できないことがあります。URL・ID・日時は、その特定の手がかりです。

  • 削除を依頼するとき:法務省の委託で作られた手引きは、どのサービスでも、まず削除したい投稿の正確な URL をコピーしておくところから説明しています。X では、URL と、@ から始まるユーザー名の両方をコピーしておくよう案内しています。
  • 投稿した人を特定するとき:東京地方裁判所の説明では、SNS などの運営会社(コンテンツプロバイダ)に投稿やログインのときの IP アドレスなどの開示を求め、さらに通信事業者(アクセスプロバイダ)に発信者の氏名・住所などの開示を求める、という流れになります。どの投稿か(URL)、いつの投稿か(日時)を特定できることが出発点です。裁判所の記載例では、投稿日時を日本時間と協定世界時の両方で、秒まで書いています。
  • 裁判所も確かめる点:同じ記載例には、「サイト上から削除済みの投稿がある」「投稿の URL の裏付けとなる書証が入手できない投稿がある」「投稿日時が特定できない投稿がある」といった事情を申告する欄があります。URL と日時が残っているかどうかは、手続の中でも確認される点です。
  • 表示名だけでは足りない:表示名は自由に変えられ、似た名前のアカウントもあります。ID やプロフィールの URL まで残してください。ID も後から変更できるサービスがあるため、保存した時点の表示をそのまま残しておくことが大切です。

画面の表示が欠けたスクショが信用されなかった例もあります。SNS の返信を写したとされる画像で損害賠償が求められた訴訟で、大阪地裁(2024年8月30日判決)は、返信先や投稿日時が表示されていないことなどを挙げ、その画像だけでは投稿があったとは認めませんでした。詳しくはスクショは証拠になる?の「大阪地裁の判決が見た点」をご覧ください。

スクショ・PDF・画面収録での残し方

撮り方の基本(画面全体を撮る、日時が写るようにする、元のデータを消さない など)は、スクショは証拠になる?と、その中のX(旧Twitter)などの SNS の投稿を残すにはで詳しく解説しています。ここでは、誹謗中傷の投稿で特に気をつけたい点をまとめます。1つの方法だけに頼らず、組み合わせて残すのが基本です。

スマートフォンで残す

  1. 投稿を個別に開いて、画面全体を撮る。投稿日時、アカウント名、@ から始まる ID 、返信なら返信先が画面に入るようにします。画面上部の時刻や電池の表示も含めて、切り取らずに保存します。
  2. 長いスレッドは続けて撮る。前後が少しずつ重なるように撮ると、つながりを示しやすくなります。Android 12 以上の端末では、スクロールに対応する多くの画面で、スクリーンショットの「キャプチャ範囲を拡大」を使って縦に長く撮ることもできます。
  3. 画面収録(録画)も残す。iPhone はコントロールセンターの画面収録、Android はクイック設定のスクリーンレコードで、画面を動画で記録できます。相手のプロフィール → 問題の投稿 → 返信やスレッド、と開いていく様子を止めずに録画すると、どの画面がつながっているかを示しやすくなります。なお、アプリによっては録画できない場合があると Apple は案内しています。
  4. 投稿のリンクをコピーする。共有のメニューから投稿の URL をコピーし、一覧表に貼ります。
  5. 端末の日時は自動設定のままにする。画面上部の時刻は端末の時計の表示です。

パソコンで残す

  • ブラウザで投稿を開き、印刷の機能で PDF に保存する。ブラウザの設定によっては、ページの URL と日時がヘッダーやフッターに入ります。アドレスバーの URL が写るように、スクショも撮っておきます。
  • 第三者のサーバーに残す。Internet Archive の Wayback Machine の「Save Page Now」を使うと、そのページをその時点で保存できることがあります。ただし、パスワードで保護されたページや、サイト側の設定(robots.txt)で除外されたページは保存されないことがあり、サイトの運営者の求めで公開が止められることもあります。

特に重要で、消されそうなときは、公証人に画面を見て確かめてもらい、公文書にしてもらう方法(事実実験公正証書)もあります。日本公証人連合会は、事実実験公正証書は高度の証明力を持ち、証拠保全の効果が期待できると説明しています。どう進めるかは、弁護士に相談してください。

保存したファイルの扱い

  • 撮ったままの元のファイルは編集しない。人に見せるために切り取ったり、塗りつぶしたりするときは、コピーに対して行います。
  • 2か所以上に保存する。スマートフォンだけでなく、パソコンや外部の記録媒体などにも保存します。端末の初期化や機種変更の前には、必ずバックアップを確かめます。
  • 一覧表と対応させる。どのファイルがどの投稿か、いつどうやって保存したかを一覧表に書いておきます。

残すもの・残し方・役立つ点と限界(一覧表)

誹謗中傷の証拠として残すものと、その限界
残すもの残し方開示請求・相談で役立つ点/限界
投稿の URL共有メニューからリンクをコピーし、一覧表に記録どの投稿かを特定する基本の情報。削除依頼でも開示の手続でも使う/投稿が消されると開けなくなる。URL だけでは内容を示せない
投稿の内容(画面全体)投稿を個別に開いてスクショ。画像・動画の投稿は、その画像・動画も保存何が書かれていたか、画面にどう表示されていたかを示せる/画像は編集できる。投稿が実在したことや、誰が投稿したかは、それだけでは示しにくい
投稿日時スクショに写す。一覧表に表示どおり記録いつの投稿かを特定し、投稿者の特定の出発点になる/画面の表示が分単位のこともある。細かい特定は弁護士と相談
アカウント(表示名・ID・プロフィールの URL)プロフィール画面のスクショと URL誰のアカウントかを示す/表示名は変えられ、ID も変更できるサービスがある。アカウントを持つ人と書いた人が同じとは限らない
前後の投稿・スレッド・あなたを指すとわかる材料重ねながら続けて撮る、画面収録文脈や、あなたのことを書いた投稿だと示す材料になる/量が多くなりやすい。一覧表で整理する
Web ページ全体ブラウザの印刷で PDF 保存設定によっては URL と日時が入る/ログインが必要なページや、表示が崩れるページがある
画面の動き画面収録(録画)画面のつながり、スクロールしても続いていることを示しやすい/ファイルが大きい。アプリによっては録画できない
第三者のサーバーの記録Wayback Machine の Save Page Nowその時点のページが第三者のサーバーに残る/保存できないページがある。運営者の求めで公開が止められることもある
保存した記録のメモいつ・誰が・どの端末で・どうやって保存したかを書く証拠の出どころを説明できる/本人の説明なので、ほかの材料と合わせて評価される
ファイルのハッシュ値・タイムスタンプ(鑑定書など)保存したスクショのファイルを固定する遅くともその時点でファイルが存在し、以後変わっていないことを示せる/投稿がネット上に存在したこと、投稿者、違法かどうかは示せない
事実実験公正証書公証人に画面を見て確かめてもらう公文書として高い証明力が期待できる/費用と、公証人との事前の打合せが必要

削除依頼・通報の前にすること

順番は「保存 → 相談・ログの保全の検討 → 削除依頼・通報」です。削除されると、投稿そのものが見られなくなります。誹謗中傷ホットラインは、発信者情報開示請求を考えている場合、投稿の削除と一緒に投稿者を特定するための IP アドレスの情報も消えてしまうサイトがあるため、削除を求める前に、念のためサイトにログの保全を求めることも検討するよう呼びかけています。投稿者の特定まで考えているときは、削除依頼の前に弁護士に相談してください。

削除と、投稿者の特定は別の手続です。東京地方裁判所は、発信者情報開示命令の手続の中で投稿の削除を求めることはできず、削除を求めるには別の申立てによることになると説明しています。

大きな SNS には、削除の申出の窓口があります。2025年4月から、利用者の多い大規模なプラットフォーム事業者には、削除の申出の窓口と手続を整えて公表し、申出に対して原則として一定期間(省令で7日間)のうちに判断して通知することなどが義務づけられました。総務省は、X、Facebook・Instagram・Threads、YouTube、TikTok、LINE ヤフーのサービス(Yahoo!知恵袋など)、ニコニコ、Ameba ブログ、爆サイ.com、Pinterest の運営会社を指定しています。

法務省の委託で作られた手引き(2025年12月19日時点の情報)では、たとえば次のように案内されています。手順やページは変わることがあるため、各サービスのヘルプで最新の情報を確かめてください。

  • X:「日本の法律に基づき、個人の権利を侵害するコンテンツを報告する」フォームから申し出ます。X のアカウントでのログインが必要で、投稿の URL と、投稿したアカウントのユーザー名を入力します。
  • Instagram・Facebook:Meta の「日本での違法なコンテンツを報告」フォームで「名誉権」を選び、投稿の URL などを入力します。フォームは Instagram のアカウントがなくても使えます。アプリの投稿のメニューの[報告する]からも申し出られます。
  • TikTok:名誉毀損で申し出るときは、本人確認の書類や、投稿が本人を指していることを示すスクリーンショットなどの添付が必要です。

削除依頼の文面には、個人情報を書きすぎないでください。同じ手引きは、掲示板によっては削除依頼の文章がそのまま公開される場合があるため、依頼文に個人情報を書かないよう注意し、不安があれば一人で判断せず法務局の人権相談に連絡するよう勧めています。削除するかどうかは、最終的にはサービスの側が、利用規約や削除の基準に照らして判断します。

自分で依頼するのが難しいときは、法務局(人権相談)や違法・有害情報相談センターに相談できます。法務局は、削除依頼の方法の助言に加え、事案に応じてプロバイダなどに削除を要請します。誹謗中傷ホットラインは、サイトに利用規約に沿った対応を促す通知を行います(相談先)。

ミュートやブロックは、記録を残してから。政府広報オンラインは、深く傷つく前にミュートやブロックで「見えなくする」ことを勧めています。証拠に必要な画面は、先に保存しておくと安心です。

証拠がない・消されたときにできること

投稿が消されていても、あきらめる前に、残っているものを集めて、早めに相談してください。

  1. 手元に残っているものを探す。自分の端末やパソコンに残っている過去のスクショや画面収録、自分がその投稿に返信・引用していれば自分のアカウントの側の記録、その投稿を引用・再投稿したほかの投稿、端末やメールに届いた通知などに、投稿の一部が残っていることがあります。
  2. 人が撮ったスクショを集めるときは、出どころも残す。友人などが撮ったスクショを受け取るときは、誰が、いつ、どの端末で、どうやって撮ったかを書き留め、できれば撮ったままの元のファイル(送信の途中で縮小・圧縮される前のもの)をもらってください。先の大阪地裁の事件では、画像の出所がわからないことも、信用されなかった理由の一つでした。
  3. Web の保存サービスに残っていないか確かめる。Wayback Machine では、URL を入れて過去に保存されたページがないかを探せます。
  4. 消されていても、投稿者の特定を求められることがある。違法・有害情報相談センターは、問題の書き込みがすでに削除されていても、その書き込みに関するログが残っていれば発信者情報開示請求が可能だとして、早急に、書き込みの内容を明らかにする書類を添えて請求するよう案内しています。手元のスクショや一覧表は、この材料になります。
  5. サービスへの直接の問い合わせには限界がある。総務省の研究会の報告では、権利侵害が明白と思われる場合でも、実務上、発信者の情報がプロバイダから裁判外で任意に開示されることはそれほど多くないと指摘されています。記録の保全や開示を確実に求めるには、裁判所の手続(次の節)が必要になることが多いため、弁護士に相談してください。

証拠が少なくても、違法・有害情報相談センターや法務局、弁護士に相談することはできます。

投稿者の特定(発信者情報開示)と時間の制限

根拠となる法律:投稿者を特定する手続は、「情報流通プラットフォーム対処法」(正式名称:特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律)に定められています。この法律は、2025年4月1日に、プロバイダ責任制限法から名前が変わりました。権利の侵害が明らかで、損害賠償の請求のために必要な場合など、開示を受けるべき正当な理由があるときに、開示を請求できます(第5条)。

2022年10月からの裁判手続(発信者情報開示命令):以前は、SNS などの運営会社への手続と、通信事業者への手続の2回の裁判手続が一般に必要でした。2022年10月1日に施行された改正で、これを一つの手続で行える「発信者情報開示命令」の制度(非訟手続)ができ、開示の命令が出るまでの間に通信記録を守るための提供命令と消去禁止命令も設けられました。東京地方裁判所では、開示命令・提供命令・消去禁止命令の申立ての手数料は、それぞれ1件1,000円です(このほか郵便料などがかかります)。

通信記録(ログ)が残る期間は限られています。

  • 東京地方裁判所が公開している申立書の記載例は、提供命令が必要な理由として、「アクセスプロバイダのアクセスログの保存期間は一般に3か月等と短く」、早く手続をしないと発信者を特定できなくなるおそれがある、と記載しています。
  • 総務省は2025年9月、通信履歴の保存期間が過ぎたことを理由に発信者の情報の開示を受けられない事例が具体的な課題になっているとして、関係団体に通信履歴の保存の在り方について要請しました。あわせて公表した取りまとめでは、通信履歴を少なくとも3〜6か月程度保存することが望ましいとしています(事業者に望ましい対応を示したもので、これに反したことで直ちに法的責任が生じるものではないとされています)。
  • 法務省の委託で作られた手引きも、事業者に通信の記録が残っている期間が限られるため、発信者情報開示請求はできるだけ早く行う必要があるとしています。

実際にどれだけの期間、記録が残っているかは、サービスや事業者によって異なり、外からはわかりません。投稿者の特定を考えるなら、気づいた時点で、すぐに弁護士に相談するくらいのつもりで動いてください。

ほかの期限

  • 刑事告訴:名誉毀損罪と侮辱罪は、告訴がなければ起訴できない罪(親告罪)です(刑法第232条)。告訴は、原則として犯人を知った日から6か月を過ぎるとできなくなります(刑事訴訟法第235条)。
  • 損害賠償の請求:不法行為による損害賠償の請求権は、損害と加害者を知った時から3年間行使しないと、時効で消えます(民法第724条)。
  • 侮辱罪の公訴時効:2022年の法定刑の引上げに伴い、1年から3年になりました(法務省)。

費用が心配な場合は、法テラスで、収入などの条件を満たせば無料の法律相談や弁護士費用の立替えを利用できる場合があります(相談先)。

この節は一般的な説明で、法的な助言ではありません。ある投稿が違法かどうかは、内容や状況によって個別に判断されます。

刑事(処罰を求める場合)

  • 名誉毀損罪(刑法第230条):公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金。ただし、公共の利害に関する事実について、専ら公益を図る目的で、真実であることの証明があったときは罰しない、という特例があります(第230条の2)。
  • 侮辱罪(刑法第231条):事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料。2022年7月7日に施行された改正で、それまでの「拘留又は科料」から引き上げられました(2025年6月1日から、懲役・禁錮は拘禁刑に一本化されています)。
  • 名誉毀損と侮辱の違い:法務省は、両者の違いを、事実の摘示を伴うかどうかだと説明しています。
  • 「公然と」:法務省は、侮辱罪の「公然と」を、不特定又は多数の人が認識できる状態と説明しています。1対1のメッセージだけで送られてきた場合などの扱いは、弁護士や警察に相談してください。
  • 法務省は、公正な論評などの正当な表現は、侮辱罪の要件に当たっても処罰されないと説明しています。批判や意見がすべて違法になるわけではありません。

民事(損害賠償・名誉の回復を求める場合)

  • 故意又は過失で他人の権利を侵害した者は、損害を賠償する責任を負います(民法第709条)。名誉を侵害した場合は、財産以外の損害(精神的な苦痛など)も賠償の対象です(第710条)。
  • 裁判所は、名誉を毀損された人の請求により、損害賠償に代えて、又は損害賠償とともに、名誉を回復するのに適当な処分を命ずることができます(第723条)。
  • 名誉毀損のほか、プライバシーや肖像権の侵害が問題になることもあります。

警察庁も、誹謗中傷の書き込みは、内容によって名誉毀損罪や侮辱罪などの刑事責任を問われる場合があると説明しています。

やってはいけないこと

  • SNS 上で言い返す・反撃の投稿をする。政府広報オンラインは、SNS 上で言い争うとさらに悪化する可能性があると注意しています。
  • 相手を突き止めようとして、相手の個人情報をさらす。警察庁は、他人の個人情報を本人の許諾なく掲載することは厳に慎むよう呼びかけています。自分が新たなトラブルの当事者になるおそれがあります。
  • 証拠のスクショを編集する。見やすくするための切り取り、書き込み、塗りつぶし、つなぎ合わせは、元の画像ではなくコピーに対して行います。編集した画像しか残っていないと、加工を疑われる理由になります。
  • 他人のアカウントやスマートフォンに無断でログインして証拠を集める。他人の ID やパスワードを使う不正アクセスは犯罪です。
  • 保存より先に、削除依頼や通報だけをする。消えてしまうと、内容を示す材料が手元に残りません。
  • 削除依頼の文面に、必要以上の個人情報を書く。依頼文が公開される掲示板もあります。
  • 証拠のスクショを SNS に公開して反論する。誹謗中傷の内容を、かえって広めてしまうことがあります。

PEA でできること・できないこと

PEA は、画像を性質の異なる8つの解析で調べ、AI による生成・加工の手がかりを1〜10のグレードで示す画像鑑定サービスです。投稿が誹謗中傷にあたるか、誰が投稿したかを判断するサービスではありません。

まずは、費用のかからないことから。投稿の URL・ID ・投稿日時が写った画面全体のスクショ、PDF、画面収録、一覧表をそろえる。これがいちばん先にやることです。PEA は、そのうえで使える追加の手段です。保存したスクショについては、次のことができます。

  • 投稿を特定する表示があるかを示します。画面のスクリーンショットかどうかを判定し、投稿日時、アカウント名や ID、返信先、画面全体を保存したか(画面上部の時刻などの表示が残っているか)、URL が写っているか、前後の投稿が写っているか、切り取りの形跡がないかを一覧で示します。相談や手続に使う前に、欠けている表示がないかを確かめられます。
  • AI で作られた画面か、加工の手がかりがあるかを判定します。
  • 痕跡が見つからなくても、「投稿が実在した」とは言いません。画面の表示を書き換えてから保存すると、画像には加工の痕跡が残りません。そのため、痕跡が見つからないスクショはグレード6(改変の兆候なし)までとし、画面に表示された内容が実在したかは対象外であることを鑑定書に明記します。
  • 根拠を示せない画像には、グレードを付けません。強い圧縮で判断の材料が残っていない画像や、画面をカメラで撮り直したことがはっきりしている画像などは「判定外(Grade -)」とし、有人鑑定をご案内します。判定外の結果は鑑定書の対象外です(料金はかかりません)。端末のスクリーンショット機能で保存した、撮ったままのファイルで鑑定してください。
  • 投稿が消される前に、スクショのファイルの状態を固定できます。鑑定すると、スクショのファイルのハッシュ値(SHA-256)と鑑定の内容に、電子署名と第三者のタイムスタンプ(RFC 3161)が付きます。タイムスタンプの時刻は、鑑定した時点です。保存した直後、投稿が消される前に鑑定しておけば、「遅くとも鑑定した時点で、このスクショのファイルが存在し、以後変わっていない」ことを示す材料になります(「遅くとも」の考え方は写真の日付を証明するにはで解説しています)。
  • 鑑定書にするのは7日以内です。無料の鑑定の結果は7日で消えます。残したいスクショは、7日以内に鑑定書(1件¥1,000)にしてください。鑑定書にすると、弁護士など見せた相手が、照合のページで証明書番号を入力して、発行日時・ファイルのハッシュ値・封印とタイムスタンプが検証できるかを確かめられます。
  • 鑑定に出したファイルは、そのまま残してください。開いて保存し直したり、トリミングしたりすると、ハッシュ値が変わって照合できなくなります。
  • すべての投稿を鑑定書にする必要はありません。無料の鑑定は1日1件までで、登録とメールアドレスの確認が必要です。URL と投稿日時がそろった、特に重要な投稿のスクショに絞るのが現実的です。料金は料金のページをご覧ください。
  • 画像のファイル(JPEG・PNG・HEIC、25MB まで)が対象です。画面収録の動画、PDF、Web の保存サービスの記録は鑑定できません。これらは元のファイルのまま保存しておいてください。
  • 画像は、ご本人だけが見られる設定で保存します。運営者は画像を見ません。担当者が画像を確認するのは、有人鑑定をご依頼いただき、開示に同意された場合だけです。鑑定の一部では、外部の解析サービスに画像を送信します(送信先はプライバシーポリシーに記載しています)。

PEA は、投稿がネット上に実在したこと、誰が投稿したか、投稿が誹謗中傷(名誉毀損や侮辱)にあたるかは証明できません。示せるのは、スクショのファイルが鑑定した時点で存在し、以後変わっていないことと、鑑定の内容です。鑑定書のタイムスタンプは、総務大臣の認定を受けたタイムスタンプではありません。鑑定書が裁判で証拠として採用されることも保証できません。弁護士による証拠保全や公証人の公正証書、発信者情報開示の手続の代わりにはなりません。PEA の結果は判断材料の一つとして、URL や一覧表、元のファイルと合わせて使ってください。スクショの見分け方はLINEのスクショは偽造できる?、画像の鑑定を専門家に頼みたいときは写真・画像の鑑定はどこに頼める?も参考にしてください。

相談先(法律・削除・警察・こころ)

証拠集めを、一人で抱え込まないでください。自分への誹謗中傷を何度も読み返すのは、とてもつらい作業です。信頼できる家族や友人に保存を手伝ってもらう、早めに弁護士に任せる、といった方法もあります。政府広報オンラインは、炎上すると世の中のすべての人に攻撃されているように思えるかもしれないが、炎上に直接参加する人はごく限られた一部だという研究結果を紹介しています。

  • 投稿者の特定・損害賠償など法律の相談:法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)。収入などの条件を満たせば、無料の法律相談や弁護士費用の立替えを利用できる場合があります。弁護士会の「ひまわり相談ネット」0570-783-110 でも法律相談を予約できます。
  • 削除の方法を相談したい:違法・有害情報相談センター(総務省の事業。Web フォームからの相談のみ)。削除依頼や発信者情報開示請求の方法について助言を受けられます。
  • 人権侵害として相談したい:法務局の人権相談。「みんなの人権110番」0570-003-110(平日8時30分〜17時15分、最寄りの法務局につながります)、インターネット人権相談受付窓口(Web フォームで24時間受付)。削除依頼の方法の助言のほか、事案に応じて法務局がプロバイダなどに削除を要請します。
  • サイトに削除を促してほしい:誹謗中傷ホットライン(セーファーインターネット協会)。国内外のサイトに、利用規約に沿った対応を促す通知を行います。相談には対応していません。
  • 処罰を求めたい・身の危険を感じる:最寄りの警察署、または都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口(警察庁のオンライン受付窓口からも相談できます)。警察署に相談するときは、事前に電話で日時を調整するとスムーズだと警察庁は案内しています。緊急でない相談は警察相談専用電話「#9110」、緊急のときは110番です。
  • つらい気持ちを話したい:厚生労働省の「まもろうよ こころ」で、電話や SNS の相談窓口を探せます。こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(相談できる曜日・時間は都道府県によって異なります)。「死にたい」「消えたい」と感じるほどつらいときは、#いのちSOS 0120-061-338(毎日24時間)に電話できます。

よくある質問

誹謗中傷の証拠はスクショで足りますか?

スクショは大切な証拠ですが、それだけでは「どの投稿か」「誰のアカウントか」「いつの投稿か」を示しにくいことがあります。投稿を個別に開いて、投稿日時・アカウント名・ID(@から始まるユーザー名など)が写る画面全体を撮り、投稿の URL、プロフィール画面、前後の投稿、保存した日時と方法もあわせて残してください。PDF での保存や画面収録を組み合わせると、より説明しやすくなります。

誹謗中傷の投稿が消されたらどうなりますか?

投稿が見られなくなっても、手元のスクショや URL の記録は証拠として使えます。違法・有害情報相談センターは、書き込みが削除されていても、その書き込みに関するログが残っていれば発信者情報開示請求が可能だと案内しています。ただし、通信記録が残る期間は限られています。過去のスクショや、ほかの人が撮った画像(撮った人と経緯も記録)を集め、早めに弁護士に相談してください。

開示請求にはどんな証拠が必要ですか?

東京地方裁判所が公開している申立書の記載例では、投稿ごとにアカウント名・閲覧用の URL・投稿日時を記載し、URL を裏付ける資料や、投稿日時が特定できるかも確認しています。まずは、投稿の URL・アカウント・投稿日時が写った画面全体のスクショと、あなたのことだとわかる前後の投稿、権利の侵害を示す部分を残してください。手続には専門的な判断が必要なため、弁護士に相談してください。

証拠を残すときに URL は必要ですか?

必要です。URL は、どの投稿かを特定するいちばんの手がかりで、削除依頼でも発信者情報開示の手続でも使われます。警察庁も、警察に相談するときはサイトの名称・URL・書き込み者・書き込み日時・内容などを記録して持参するよう案内しています。投稿ごとに、共有のメニューからリンクをコピーし、スクショと対応させて一覧にしておきましょう。

誹謗中傷は警察に相談できますか?

相談できます。誹謗中傷の書き込みは、内容によって名誉毀損罪や侮辱罪などにあたる場合があります。警察庁は、処罰を望む場合は、掲載されたページを印字し、サイトの名称・URL・書き込み者・書き込み日時・内容などを記録して最寄りの警察署に相談するよう案内しています。緊急でない相談は「#9110」も使えます。名誉毀損罪と侮辱罪は告訴が必要な罪で、告訴には期限があるため、早めに相談してください。

出典