スクショは証拠になるのか(証拠能力と証明力)

この節は、民事の裁判(損害賠償、離婚、近隣や職場のトラブルなど)での一般的な考え方の説明で、法的な助言ではありません。刑事事件では、証拠の扱いに民事とは別のルールがあります。個別の事件での扱いは、弁護士に相談してください。

「スクショは証拠になるか」という問いには、2つの意味が混ざっています。

  • 証拠能力:証拠として使える資格があるか
  • 証明力:その証拠が、どこまで信用されるか(事実を認めてもらうのにどれだけ役立つか)

民事の裁判では、証拠能力はとても広く認められています。弁護士による解説では、著しく反社会的な手段で集めた資料などの例外を除いて、証拠能力は基本的に制限されず、原本でも写しでも、証拠として使えないことは基本的にないとされています。スクショも、紙に印刷したり電子データのまま出したりして、証拠として提出することができます。

一方で、どこまで信用されるかは、裁判官が判断します。民事訴訟法は、裁判所が、口頭弁論の全趣旨と証拠調べの結果をふまえて、自由な心証によって事実を認めるかどうかを判断すると定めています(第247条、自由心証主義)。また、文書は「本物として作られたこと」を証明しなければならないとされ(第228条第1項)、相手が「作り物だ」と争えば、出した側が説明を求められます。

つまり、「スクショは証拠にならない」と言われるのは、多くの場合、「スクショだけでは信用されにくい」という意味です。出せるかどうかより、信用してもらえる材料をどれだけそろえられるかが大切です。

集め方にも注意が必要です。他人のスマートフォンを勝手に操作したり、他人の ID やパスワードを使ってアカウントにログインしたりして画面を撮ると、証拠として使えるかが争われるだけでなく、その行為自体が問題になるおそれがあります。警察庁は、他人の ID やパスワードを使ってサービスを悪用する不正アクセスを犯罪と説明しています。

スクショが疑われる理由

スクショは、メッセージや投稿そのものではなく、画面を写した画像です。そのため、次のような疑いをかけられやすくなります。

  • 書き換えられる:画像編集アプリで、文字や日時を書き換えられます。
  • 切り取れる:都合の悪い前後のやりとりや、日時・相手の表示を切り落とせます。
  • 作れる:メッセージアプリ風のトーク画面を作れる無料のアプリや Web サイトも出回っています。
  • なりすませる:表示名やアイコンは似せることができます。アカウントが乗っ取られ、本人ではない人が投稿することもあります。警察庁の相談事例にも、自分では投稿していないメッセージが自分の投稿として書き込まれていた、というものがあります。

そのため、スクショが争いになると、次の2つが問われます。

  1. その画像は、画面の表示を正確に写したものか
  2. 本当にその人が送った・投稿したものか

2つ目のほうが、答えるのが難しいことが多くあります。画像がどれだけきれいでも、「誰のアカウントの、いつの、どの投稿か」を示す材料がなければ、信用されにくくなります。

大阪地裁の判決が見た点

SNS の返信を写したとされる画像をもとに損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(2024年8月30日判決)は、次の点を挙げて、画像が捏造された可能性を否定できないとし、この画像だけでは、そのアカウントから返信が投稿されたとは認められないと判断しました。

  • 返信であれば表示されるはずの返信先や投稿日時が、画像に表示されていない
  • 画面を切り取るなどの加工がされた可能性が高い
  • 画像の出所がわからない(第三者から入手したもの)
  • 代理人弁護士も、返信そのものが存在するかを確認できなかった

問題になったのは「AI らしさ」ではなく、画像の中に「あるはずの表示がない」ことと、出所でした。この事件では、画像を本物と信じて訴えた側と、身に覚えのない投稿で訴えられた側の双方が、長い裁判の負担を負いました。事件の詳しい経緯は、捏造画像・AI画像が問題になった日本の裁判と事件で紹介しています。

信用されやすいスクショの撮り方

大阪地裁の判決が見た点を裏返すと、信用されやすいスクショの条件が見えてきます。

  1. 画面全体を撮る。画面上部の時刻や電池の表示まで含めて、切り取らずに保存します。見せるために切り取ったり、塗りつぶしたりするのは、コピーに対して行い、元の画像も残します。
  2. 日時が写るようにする。LINE なら日付の区切りと各メッセージの時刻、SNS なら投稿日時が画面に入るようにします。
  3. 相手が誰かわかる表示を写す。表示名だけでは、誰のアカウントかを示しにくいことがあります。相手のプロフィール画面(ID やユーザー名)も撮っておきます。
  4. 前後のやりとりも残す。問題のメッセージだけでなく、会話の流れがわかるように、前後を少しずつ重ねながら続けて撮ります。画面をスクロールしながら画面収録(録画)しておくと、つながりを示しやすくなります。
  5. SNS や Web は URL を控える。どの投稿かを特定するいちばんの手がかりです。
  6. 元のデータを消さない。トークや投稿、撮った端末を残します。機種変更や初期化の前には、バックアップと引き継ぎを先に済ませます。
  7. 撮った記録を書き出す。誰が、いつ、どの端末とアプリで、どの画面を、どうやって保存したか。送られてきたスクショなら、誰から、いつ、どの方法で受け取ったかも書き、書いた日付も残します。

画面を別のカメラで撮り直すより、端末のスクリーンショット機能で保存するほうが、表示をそのまま残せます。

残し方ごとに示せること・限界

1つの方法だけに頼らず、組み合わせて残すのが基本です。

スクショと、あわせて残したいものの比較
残し方示せること限界
画面全体のスクショ(続けて撮る)その時、画面にどう表示されていたか。前後の流れ画像は編集できる。それだけでは送った人や投稿の実在を示しにくい
元のトーク・投稿(端末やアカウントに残った状態)実物を示して、スクショと照らし合わせられる相手が送信を取り消したり投稿を消したりすると見られなくなる。機種変更で失われることもある
トーク履歴のテキスト保存(LINE)会話の流れをまとめて記録できるテキストは書き換えられる。写真や動画は含まれない。表示されている範囲だけ
投稿の URL・PDF での保存どの投稿かを特定できる。PDF は URL や日時が入る場合がある投稿が消されると、URL の先は見られなくなる
Web ページの保存サービス(アーカイブ)第三者のサーバーに、その時点のページが残るログインが必要なページなどは保存できないことがある
撮った記録のメモいつ・誰が・どうやって残したかの説明本人の説明なので、ほかの材料と合わせて評価される
ハッシュ値・タイムスタンプ(鑑定書など)その時点でファイルが存在し、以後変わっていないこと撮った画面の内容が本当か、投稿が実在したかは示せない
公証人の事実実験公正証書公証人が見て確かめた事実を、公文書として残せる費用と手間がかかり、公証人との事前の打合せが必要

LINE のトークを残すには

  • トークを消さない。トークルームの削除や、端末の初期化はしないでください。機種変更をするなら、先にトーク履歴のバックアップと引き継ぎの準備をします。
  • テキストでも保存する。LINE には、トーク履歴をテキスト形式(.txt)で保存する機能があります。スマートフォンでは、トーク画面上部のメニューから[設定]→[トーク履歴を送信]を選び、送る先を選びます(パソコン版は[トークを保存])。保存されるのは、そのトークルームに今表示されているトーク履歴だけで、テキストで保存した履歴からトークを復元することはできません。テキストのファイルは書き換えられるため、スクショと両方を残しておくのが安心です。
  • 写真や動画は早めに保存する。LINE のサーバーでは、画像や動画は一定期間だけ保存され、期間を過ぎると見られなくなります(期間は公表されていません)。大事な写真や動画は端末に保存するか、アルバムに保存しておきます。
  • バックアップの範囲を知っておく。通常のトーク履歴のバックアップでは、画像・動画・音声は対象外です。
  • 相手のプロフィール画面も撮る。誰とのトークかを示す材料になります。

X(旧Twitter)などの SNS の投稿を残すには

  • 投稿を個別に開いて撮る。投稿日時、アカウント名、ユーザー名(@から始まる ID)が画面に入るようにします。返信なら、何への返信かがわかる表示も写します。大阪地裁の事件で問題になったのは、まさにこの表示がないことでした。
  • 投稿の URL を控える。共有のメニューから、投稿へのリンクをコピーできます。スクショと URL を対にして保存します。
  • アカウントのページも保存する。プロフィール画面と、その URL を残します。
  • パソコンでも保存する。ブラウザで投稿を開き、印刷の機能で PDF として保存する方法もあります。ブラウザの設定によっては、ページの URL と日時がヘッダーやフッターに入ります。
  • 第三者のサーバーに残す。Web ページの保存サービス(Internet Archive の Wayback Machine など)を使うと、その時点のページを第三者のサーバーに残せることがあります。ただし、ログインが必要なページなどは保存できないことがあります。
  • 特に重要で、消されそうなときは、公証人に画面を見て確かめてもらい、その内容を公文書にする方法(事実実験公正証書)もあります。日本公証人連合会は、事実実験公正証書は高度の証明力を持ち、証拠保全の効果が期待できると説明しています。

誹謗中傷の投稿が消される前に残すもの

誹謗中傷の投稿は、書いた人が消したり、削除を依頼して消えたりすることがあります。削除を依頼する前に、まず記録を残すのが基本です。警察庁、政府広報オンライン、誹謗中傷ホットラインは、いずれも次のような記録を勧めています。

  • サイトやサービスの名称
  • 投稿の URL
  • 投稿日時
  • 投稿したアカウント(表示名、ID、プロフィールの URL)
  • 投稿の内容(画面全体のスクショ。動画なら動画も保存)
  • 前後の投稿や、誹謗中傷に至った経緯
  • 自分が保存した日時と方法

警察庁は、警察に相談するときは、ページを印刷し、サイトの名称・URL・書き込み者・書き込み日時・内容などを記録して持参するよう案内しています。

投稿した人を特定したい場合は、情報流通プラットフォーム対処法にもとづく発信者情報開示の手続があります(2025年4月に、プロバイダ責任制限法から名前が変わりました)。誹謗中傷ホットラインは、投稿が削除されると、投稿した人を特定するための記録(IP アドレスの情報)も一緒に消えてしまうサイトがあるため、削除を求める前に、ログの保全を求めることも検討するよう呼びかけています。手続には期限や専門的な判断が必要なことが多いため、早めに弁護士に相談してください。

SNS 上で言い争うと、かえって悪化することがあります。反論するより、記録を残して相談することを優先してください。

「加工した」と言われたら・相手のスクショが疑わしいとき

自分のスクショを「加工した」「作った」と言われたら

  • 元のトークや投稿が端末やアカウントに残っていれば、それを示せるように保全します。端末は初期化しないでください。
  • 続けて撮ったスクショ、画面収録、テキスト保存、URL、撮った記録をそろえます。
  • メッセージのやりとりなら、同じ会話は相手の端末にも残っているはずです。相手の手元の記録との照らし合わせを求めることも考えられます。
  • 疑われたスクショを、見やすくしようと編集し直すのはやめましょう。

相手が出してきたスクショが疑わしいとき

  • 「偽物だ」と言うだけでなく、具体的に何が欠けているかを挙げます。日時がない、返信先がない、アカウントがわからない、切り取られている、出所がわからない、一部の文字だけ書体や位置が違う、などです。
  • 元のデータ、投稿の URL、いつ誰がどうやって保存したかを示してもらうよう求めます。
  • 自分の端末やアカウントに残っている記録と照らし合わせます。

画像の加工を調べる方法は画像が加工されているか調べる方法、写真の証拠を疑われたときの備えは証拠の写真を「AIで作った」「加工した」と疑われたらで詳しく解説しています。

やってはいけないこと

  • 切り取ったり、塗りつぶしたりした画像だけを残す。見せるための加工はコピーに対して行い、画面全体の元の画像も残します。
  • 元のトークや投稿、端末を消す。トークルームの削除、端末の初期化、送信の取り消しをすると、照らし合わせる元がなくなります。
  • 都合のよい部分だけを抜き出して出す。前後を省くと、切り取りを疑われる理由になります。
  • 他人のスマートフォンやアカウントに、無断でログインして画面を撮る。集め方そのものが問題になるおそれがあります。
  • 誹謗中傷の投稿に反論して、SNS 上で言い争う。かえって悪化したり、別のトラブルを招いたりすることがあります。

PEA でできること・できないこと

PEA は、画像を性質の異なる8つの解析で調べ、AI による生成・加工の手がかりを1〜10のグレードで示す画像鑑定サービスです。スクショについては、次のことができます。

  • 投稿を特定する表示があるかを示します。画面のスクリーンショットかどうかを判定し、投稿日時、アカウント名や ID、返信先、画面全体を保存したか、URL が写っているか、切り取りの形跡がないかを一覧で示します。証拠として出す前に、欠けている表示がないかを確かめられます。
  • AI で作られた画面か、加工の手がかりがあるかを判定します。生成AIで作られた画面なら、電子透かしや記録から判定できる場合があります。
  • 痕跡が見つからなくても、「投稿が実在した」とは言いません。画面の表示を書き換えてから保存すると、画像には加工の痕跡が残りません。そのため、痕跡が見つからないスクショはグレード6(改変の兆候なし)までとし、画面に表示された内容が実在したかは対象外であることを鑑定書に明記します。
  • 根拠を示せない画像には、グレードを付けません。強い圧縮で判断の材料が残っていない画像や、画面をカメラで撮り直したことがはっきりしている画像などは「判定外(Grade -)」とし、有人鑑定をご案内します。
  • 保存した時点の状態を固定できます。鑑定書(1件¥1,000)にすると、ファイルのハッシュ値・電子署名・第三者のタイムスタンプで、そのファイルが発行の時点で存在し、以後変わっていないことを、第三者が証明書番号で照合できます。
  • 無料の鑑定は1日1件まで使えます。料金は料金のページをご覧ください。

PEA は、投稿やメッセージが実在したか、誰が送った・投稿したかは確かめられません。それを確かめる材料は、画像の外(元のトーク、投稿の URL、サービスの記録、発信者情報開示の手続など)にあります。鑑定書が裁判で証拠として採用されることも保証できません。PEA の結果は判断材料の一つとして、元のデータや撮った記録と合わせて使ってください。

相談先

  • 法律の相談:法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時、土曜9時〜17時)で、問題に合った相談窓口や、法律相談の案内を受けられます。地域の弁護士会の法律相談センターも利用できます。
  • 削除の方法の相談:違法・有害情報相談センター(総務省の支援事業。Web フォームで受け付け)
  • 人権侵害の相談:法務局(法務省の人権相談)。削除依頼の方法の助言のほか、事案に応じて法務局からプロバイダなどに削除を求めます。
  • 削除を促す通知:誹謗中傷ホットライン(セーファーインターネット協会。相談対応ではなく、サイトへの通知を行う窓口です)
  • 処罰を望む場合:最寄りの警察署(警察相談専用電話 #9110)

よくある質問

LINE のスクショは、裁判で証拠になりますか?

民事の裁判では、証拠として出すこと自体は原則として制限されていません。ただし、どこまで信用されるかは裁判官が判断します。日付と時刻、相手のアカウント、前後のやりとりが写った画面全体を続けて撮り、元のトークを消さずに残し、トーク履歴のテキスト保存や、いつどうやって撮ったかの記録もあわせて残しておくと、信用されやすくなります。個別の事件は弁護士に相談してください。

相手がメッセージや投稿を消してしまいました。スクショだけでは証拠になりませんか?

元のデータが消えても、スクショを証拠として出すことはできます。ただし、元と照らし合わせられないぶん、信用してもらうための材料が大切になります。撮った日時や端末、撮った経緯を書き出し、前後のスクショ、投稿の URL、自分の端末に残る記録、トーク履歴のテキストなどを集めてください。発信者情報開示などの手続が必要な場合は、早めに弁護士に相談しましょう。

相手に「スクショを加工した」と言われたら、どうすればよいですか?

言い争うより、元のトークや投稿を示せるように端末やアカウントを保全し、続けて撮ったスクショ、画面収録、URL、撮った記録をそろえるのが先です。疑われたスクショを編集し直すのはやめましょう。第三者の鑑定を補足の材料に加えることもできますが、加工の有無の判定には限界があるため、元のデータを中心に説明してください。

LINE のトーク履歴は、テキスト保存とスクショのどちらがよいですか?

両方を残すのがおすすめです。テキスト保存は会話の流れをまとめて残せますが、テキストは書き換えられ、写真や動画は含まれず、今表示されている範囲しか保存されません。スクショは画面の見た目をそのまま残せますが、切り取りや加工を疑われることがあります。それぞれの弱いところを補い合えるよう、元のトークも消さずに残してください。

誹謗中傷の投稿が消される前に、何を残せばよいですか?

投稿の URL、投稿日時、投稿したアカウント(表示名・ID・プロフィールの URL)、投稿の内容が写った画面全体のスクショ、前後の投稿、保存した日時と方法を残してください。削除を依頼する前に記録を残すのが基本です。投稿した人を特定したい場合は、削除で記録が消えるサイトもあるため、早めに弁護士や違法・有害情報相談センターに相談してください。

出典